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文理融合型「総合知」を駆使した高山生態系の過去から現在の動態追究、そして将来予測

研究課題

研究課題/領域番号 23K17467
研究種目

挑戦的研究(開拓)

配分区分基金
審査区分 中区分64:環境保全対策およびその関連分野
研究機関信州大学

研究代表者

東城 幸治  信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (30377618)

研究分担者 竹中 將起  信州大学, 理学部, 特任助教 (00854465)
福島 正樹  信州大学, 附属図書館, 特任教授 (10192725)
谷野 宏樹  基礎生物学研究所, 進化発生研究部門, 特別研究員 (10915242)
笠原 里恵  信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (80791821)
西海 功  独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (90290866)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2024年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
キーワード高山帯 / 生態系 / 遺伝的多様性 / 山岳研究黎明期 / 研究史 / 文理融合 / 博物学 / 人物史 / 黎明期
研究開始時の研究の概要

生態系保全での過去-現在の動態理解は重要であるが、時間を遡って理解するのは困難を極める。脆弱で絶妙な環境バランス下に成立する高山帯生態系は、気候変動により最初に大きな影響を被ると危惧されるが、過去の情報は乏しい。本研究では、100年超の明治・大正期の高山動植物標本を活用する。標本作成者・矢澤米三郎の歴史資料を解読し、個々の標本情報を精査する。次いで、標本や現生集団も含めた解析子解析により、過去の遺伝的多様性や有効集団サイズの動態の評価、気象観測データから高山生態系の将来予測を行う。歴史分析に、遺伝子解析や生態ニッチモデル解析といった自然科学を融合させた、「総合知」による先駆的取組である。

研究実績の概要

西洋の科学が導入され、日本の山岳域(特に高山帯)での研究黎明期にあたる明治・大正期に活躍した矢澤米三郎氏そのものに関する人物史的研究は計画通りに進展している。矢澤ら、松本女子師範學校関係の動植物標本からの遺伝子解析、ゲノムワイドなSNPs解析についても順調に進展しており、ニホンライチョウ標本からのゲノムDNA抽出・精製は可能な限りの標本についてほぼ完了した。また、高山植物であるコマクサに関しては、100年超の年月が経過した標本を含め、現生の地域集団をほぼ網羅する形での調査・サンプリングを終え、これらの遺伝子解析(核DNA、葉緑体DNA)も可能な限り完了できている。さらに、ゲノムワイドなSNPs解析のうち、次世代シーケンサーによる解析までは完了しており、現在は、得られた膨大なゲノムデータの分析を実施している。コマクサ 以外の植物標本の遺伝子解析については、今後、順次展開していく予定である。

さらに、学校教材として用いられてきたニホンライチョウの剥製標本の所在探しを実施する中、長野県立諏訪双葉高校内に、明治期(1910年)に関東地方(下総地域:千葉県北部から茨城県南部地域)で捕獲されたトキの剥製標本が保管されていることが判明した。これまでの記録や残存する標本は、佐渡をはじめとする新潟・北陸地域のものがほとんどで、関東地方の標本は極めて希少であることから、当該標本についても遺伝子解析に着手したところである。これらは、当初の研究計画では想定外のものであるが、実際に本研究課題に取り組み始めたことで明らかとなった重要な成果であると評価する。なお本件に関しては、プレスリリースを行い、メディアにも大々的に取り上げていただくことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

山岳科学研究黎明期に活躍した矢澤米三郎氏はじめとする松本女子師範學校関係資料に関する人文社会学分野の調査・研究はほぼ計画通りに進展している。
また、明治・大正期に作製された動植物標本の遺伝子解析についても、ニホンライチョウや高山植物・コマクサでは、ほぼ計画通りに進んでいる。植物標本については、今後、多種についても解析を進めていく予定である。並行して実施する計画である、現生個体群を対象とした遺伝的多様性の調査・研究についても、ほぼ計画通りに進められている。
また、明治・大正期に作製され、地域の学校等に保管されているニホンライチョウの剥製標本の探索を進める中、関東地方で捕獲されたトキの剥製標本の所在が明らかとなるなど、想定外の進展もみられている。これは極めて貴重な標本であることから、現在、遺伝子解析を進めている。

以上のように、ほぼ計画通りに研究が進展していることに加え、想定外の発展までみられている。

今後の研究の推進方策

山岳科学研究黎明期に活躍した矢澤米三郎氏はじめとする松本女子師範學校関係資料に関する人文社会学分野の調査・研究については、今後も継続して進めていく予定である。これらの資料については、全てを写真撮影し電子データとして保管しており、本研究の完了時には、これらの情報アーカイブを可能な限り(個人情報も含まれることから、ご遺族とも相談の上)公開できるような準備を進める。
また、明治・大正期に作製された動植物標本の遺伝子解析のうち、コマクサについては昨年度までに次世代シーケンサーを用いたゲノムワイドなSNPs解析を実施しており、現在は得られた膨大なゲノムデータの分析中であるが、この分析を済ませることで、従来の核DNAと葉緑体DNAそれぞれ数領域の塩基配列に基づく遺伝構造解析に、より鋭敏な遺伝子マーカーである解析結果を追加することで、より詳細なコマクサの遺伝構造解析を実施する。さらに、コマクサ以外の高山植物についても解析を進める計画である。

想定外の成果でもある関東地方で捕獲された希少なトキ剥製の遺伝子解析については、遺伝子解析を継続して展開する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 審査結果の所見   実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 信濃毎日新聞デジタル版「生物室の剝製、調べたら貴重なトキだった」

    • URL

      https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024041101059

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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