研究課題/領域番号 |
23K17468
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
廣岡 佳弥子 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (10555098)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2029-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2028年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2027年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2026年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
|
キーワード | 微生物燃料電池 |
研究開始時の研究の概要 |
微生物燃料電池は、脱炭素社会を担う発電型廃水処理技術として早期の実用化が期待されている。しかしそのためには発電量を増やす必要があり、電極の性能向上が重要である。本研究では、従来の電極の形にとらわれない、流体エアカソードを考案し、これを用いた流体エアカソード型微生物燃料電池を創出することを目標とする。そのために、流体エアカソードの分散媒、分散媒への酸素供給方法、微生物燃料電池の隔膜に関する検討を行い、新規装置を構築していく。
|
研究実績の概要 |
カソード分散媒としてのシリコーンオイルの利用可能性を検討した。まず、酸素溶解性の評価のために、シリコーンオイルをカソード液とした二槽型のセルで、リニアスイープボルタンメトリーをおこなった。アノードには電子生産微生物なしのカーボンフェルトを用い、リン酸バッファをアノード液とした。片面に触媒を、反対面にPTFE分散液を塗布したカーボンペーパーをカソードとして、触媒側をアノード槽にして、二槽の間に設置した。また、カソード槽はガラスボトルと接続して内部液を循環させ、カソード液に酸素を供給するためにガラスボトルで曝気をおこなった。その結果、カソード電位の掃引に伴って電流が流れた。しかし、曝気をしない条件でも、曝気ありに比べて劣るものの電流が流れた。このことから、試験系内に酸素が漏れこんでいると考えられた。カソード液をリン酸バッファに変えて溶存酸素を測定したところ、曝気していない条件でも低濃度の酸素が溶解していることがわかった。そこで、試験系を構成する部品の材料を見直し、またアノード液からの酸素漏れこみを防ぐためにアノード液も窒素曝気をおこなった。これにより、カソード液への酸素供給がボトルでの曝気からのみおこなえるようにした。さらに、酸素透過性の低い樹脂でカーボンペーパーをコーティングすることによって、カーボンペーパーが空気に接触している箇所から、酸素が直接カソードに供給されてしまわないようにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
カソード液に曝気したシリコーンオイルを用いた二槽型のセルによるリニアスイープボルタンメトリーにおいて、電位掃引に伴って電流が流れることを確認できた。しかしながら、カソード液への曝気以外からも試験系に酸素が供給されてしまうという問題が起こったため、シリコーンオイルを曝気することのみからの酸素供給の寄与がどの程度であったかを正しく評価することができなかった。試験系を改良することによってこの問題は解決されたと考えられるため、今後はこの改良された系を用いて評価をおこなっていく。また、シリコーンオイル以外の分散媒について文献調査をおこない、次年度以降に試験に供するための候補をいくつか選定できた。
|
今後の研究の推進方策 |
改良された試験系を用いて、分散媒としてのシリコーンオイルの利用可能性の検討を進めていく。高い酸素供給性およびイオン導電性を持つものが適している。その際、より正確な評価をおこなうため、嫌気グローブボックスを用いて、完全に大気中からの酸素の漏れこみを排除した条件での試験を行うことも考えている。また、シリコーンオイル以外の分散媒の候補についても同様の試験をおこなう予定である。 また、緩衝液を分散媒とし、活性炭触媒を用いて流体エアカソードを試作し、性能評価をおこなう。そして、適切な触媒分散量や集電体の面積の検討に向けた予備データの採取も、この試作エアカソードを用いておこなっていく。
|