研究課題/領域番号 |
23K17473
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
清水 一男 静岡大学, イノベーション社会連携推進機構, 准教授 (90282681)
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研究分担者 |
清水 広介 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 准教授 (30423841)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,350千円 (直接経費: 19,500千円、間接経費: 5,850千円)
2025年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | マイクロプラズマ / ドラッグデリバリー / 高分子 / 能動輸送 / 脳内デリバリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では先行デバイスの技術を応用し、独自技術と融合させることで、高分子薬の経口・経鼻投与を可能とする「非侵襲マイクロプラズマ」技術を用いた新たな体内駆動デバイス創成に挑戦し、高分子薬吸収の関門となる粘膜上皮細胞(小腸上皮細胞など)での「高分子薬吸収促進・制御剤」としてのプラズマの利用可能性と技術的手法を進展させる。本研究の意義は、新たな体内駆動デバイスの創成により、高分子薬の経口・経鼻投与による脳内デリバリーを含めた投与手法変革の道筋を示し、本研究成果を社会へ実装することによる患者QOL向上への貢献である。
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研究実績の概要 |
小動物適用に向け極細(直径0.8 mm)の誘電体材料が異なる2つの鼻腔内用極細プラズマプローブの試作を行い、大気圧雰囲気化でラット小腸上皮細胞に対してプラズマ照射を行い、細胞内への高分子蛍光試薬導入に関して検討したので、概要を以下に示す。1. 電極に対する印加電圧および照射時間を増加させることで、高分子蛍光試薬の導入量の増加に成功した。具体的にはDPI 法を用いた場合、分子量が150 kDa 程度であるFD-150 の導入においては約6倍程度の増加。また分子量が2000 kDa 程度であるFD-2000 の導入においては約2倍程度の増加が確認された。2. スパイラル型BA 電極を用いた場合、Control の細胞生存率を100%とし、プラズマ照射前後における細胞生存率を確認したところ、照射時間の調整を行うことにより、細胞生存率は90%以上を維持することが期待できることが確認された。3. DPI 法およびPAM 法を比較すると、蛍光試薬導入量に関してはPAM 法において線形的な増加は見られず、また医療適応するには十分な導入量は認められなかった。4. 研究分担者の清水広介(浜松医科大学)との連携によりマウスへの適用を行い、低分子薬であるガランタミン(368Da)の脳内デリバリーの検討を行ったところ、プラズマ照射時間に応じて薬物の脳内濃度変化が認められた。 以上のことから、大気圧雰囲気下かつ細胞生存率を維持した状態で高分子蛍光試薬(150 kDa 以上)導入が認められたため、プラズマ照射を用いて細胞内への非侵襲的な薬剤導入を示すことができたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロプラズマプローブは1.5mm程度で試作を検討していたが、小動物への適用を考慮して0.8mmを基材とした電極構成とすることで、動物実験を順調に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
小動物をマウスからラットへ変更し、適用薬物の分子量を徐々に上げていき、脳内デリバリーの可能性をIMS(質量分析顕微鏡)を用いて観察する予定である。脳内皮血管細胞にはBBB(血液脳関門)があることと、IMSでの観測分子量の限界のため、適用薬物も分子量から適切に選定し、ガランタミンの次はオキシトシン(1007Da),ACTH(4.5 kDa)を検討する計画である
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