研究課題/領域番号 |
23K17477
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
石田 竜弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50325271)
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研究分担者 |
安藤 英紀 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (00735524)
清水 太郎 大阪大学, 微生物病研究所, 特任講師(常勤) (30749388)
高田 春風 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 特任助教 (10986714)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2026年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2025年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | イオン液体 / 中分子医薬品 / 吸収改善 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、200種以上のライブラリーを有するイオン液体を薬物送達体とし、「皮膚角質層の突破」及び「腸管上皮細胞の突破」という中分子医薬品を経皮・経口投与する際の最も大きな課題を一気に解決するための低侵襲投与法を開発する。研究代表者は、既にイオン液体によって中分子医薬品であるインスリン、がんペプチド、siRNAを経皮吸収させることに成功している。また、同様にGLP-1受容体作動薬(ペプチド性)の腸管吸収にも成功している。これらの成果を基盤とし、イオン液体の最適化などのブラッシュアップを行い、中分子医薬品を経皮・経口投与可能な革新的な吸収促進技術の完成を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、イオン液体を薬物送達体として「皮膚角質層の突破」及び「腸管上皮細胞の突破」という中分子医薬品を経皮・経口投与する際の最も大きな課題を一気に解決するための低侵襲投与法を開発する。既にイオン液体を用いて中分子医薬品の経皮・経口吸収に成功している。これらの成果を基盤とし、イオン液体のさらなるブラッシュアップを行うと共にその吸収促進機構の解明を目指して研究を行った。モデルとしてがん特異的WT1タンパク由来ペプチド(SGQAYMFPNAPYLPSCLES, MW:2075)を使用し、イオン液体を用いてマウス皮膚に塗布することで抗腫瘍効果が得られるか、評価を行った。その結果、特に、イオン液体にアジュバントを溶解させたものを前塗布する事で、高いがんワクチン効果が得られることを確認した。一方、別のイオン液体に乾癬疾患関連遺伝子であるIL-17に対するsiRNAを溶解させ、乾癬モデルマウスの皮膚に塗布したところ高い遺伝子抑制効果と皮膚の肥厚抑制効果が観察された。さらに、これら用いたイオン液体に分子量既知の蛍光(FITC)標識デキストランを溶解させて皮膚に塗布したところ、分子量が20kDa以下のものであれば経皮吸収されて血液中にまで移行することが明らかとなった。これらの結果から、イオン液体の種類によって、中分子化合物は細胞内にも、細胞間隙を通過して免疫細胞にも、さらには血管にも到達しうることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イオン液体の更なるブラッシュアップを行うと共に、その中分子吸収促進機構の解明を目指して研究を行っている。中分子の透過性だけでなく、実際の薬理作用向上や、透過促進機構の一端を明らかにすることができ、当該年度に掲げた目標を概ね達成できていることから、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究は計画通りに順調に進捗しており、次年度は腸管吸収改善に係る研究に集中し、当初計画にしたがって研究を進める。具体的には、中分子のモデルペプチドとしてGLP-1 受容体作動薬のセマグルチド(MW 4,114)を使用し、経口投与後の吸収改善と薬理効果の獲得を目指す。
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