研究課題/領域番号 |
23K17489
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
標葉 隆馬 大阪大学, 社会技術共創研究センター, 准教授 (50611274)
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研究分担者 |
小泉 望 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 教授 (20252835)
標葉 靖子 実践女子大学, 人間社会学部, 准教授 (40713269)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 新食品技術 / 社会技術的想像 / ELSI / RRI / 培養肉 / 責任ある研究・イノベーション / 倫理的・法的・社会的課題 |
研究開始時の研究の概要 |
フードセキュリティは現代における喫緊の課題である。しかしながら、科学技術の発展に伴い現われてきた種々の新食品技術がどのように社会の中で受容され、また懸念されているのかについての包括的な研究は未だ少ない。そのため本研究では、食品技術の活用の中でも例外的に研究が数多くなされてきた「遺伝子組換え食品(Genetically Modified food: GM食品)」をめぐる知見をスタートし、「ゲノム編集食品」、「代替たんぱく質」など、更に近年の新食品技術の事例を対象として、それらをめぐる「語り」の包括的な分析を行い、それらがどのような「社会技術的想像」を纏うのかを浮き彫りにする。
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研究実績の概要 |
2023年度の最も大きな成果の一つは、ゲノム編集食品技術に関する意識調査データの分析から、一般の人々とゲノム編集食品の専門家の間における当該技術に対する懸念やコミュニケーション上の関心の差異の比較分析を行い、その成果を論文として公表したことである。 この結果、両者の間でコミュニケーション上の関心事は比較的に通っていることが見いだされた(また関心のプライオリティが他の再生医療など先端生命科学のものと異なることも見出された)。また、一般の人々の方がよりリスクに対する評価を気にすると同時に、他の農業技術との比較優位性についても関心を示すような傾向も見られた。本成果は、"A comparative analysis of attitudes toward genome-edited food among Japanese public and scientific community"というタイトルでPLoS ONE誌に掲載された。 また2023年度では、新食品技術に関する社会技術的想像の分析のため、世界の約1500社にわたるフードテックカンパニーのWebサイトに登場するテキストと画像の内容分析のための準備をまず行った。またその過程でこれまでに実施してきた新食品技術に関するフォーカスグループ・インタビューの分析とフレーミングの抽出も実施し、その成果をコーディングルール作成に活用した。2024年度は実際のコーディング作業と分析を実施していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度では、新食品技術に関する社会技術的想像の分析のため、世界の約1500社にわたるフードテックカンパニーのWebサイトに登場するテキストと画像の内容分析のための準備をまず行った。その内容はおおよそ下記の通りである。①対象リストとなるサイト情報一覧の作成を行った。②コーディングルールの作成:申請者らの過去の論文である"Comparison of public attitudes toward five alternative proteins in Japan"の内用をベースとしつつ、本プロジェクトとも関連しながらこれまでに代替タンパク質に関して実施したフォーカスグループインタビューの結果も加味して作成した。③コーダーの確保と打合せ:2024年開始時点までに、コーダーの確保を行い、すでにトレーニングを開始している。2024年度は実際のコーディング作業と分析を実施していく。 加えて、上述の通り、代替タンパク質に関して実施したフォーカスグループインタビュー(FGI)の分析を行った(FGI自体は別プロジェクトとの協働の元に行った)。本プロジェクトでは特に得られた語りのフレーミングの抽出と整理をメインに行った。その結果は、上記内容分析のコーディングルール作成にも活用している。 またゲノム編集食品技術に関する意識調査データの分析から、一般の人々とゲノム編集食品の専門家の間における当該技術に対する懸念やコミュニケーション上の関心の差異の比較分析を行い、その成果を論文として公表した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度中に作成したフードテック関連企業のWebサイト表象の内用分析のためのコーディングを実施し、分析を精力的に行っていく。またFGIについても継続的に行うことで、「語り」から見える新食品技術をとりまく多様なフレーミングの可視化を更に深堀していく。
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