研究課題/領域番号 |
23K17494
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
松森 奈津子 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (80337873)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | アルビトリスタ / 献策家 / ノバトル / 革新者 / 17世紀 / 危機の時代 / バロック / 啓蒙 / スコラ学 / カトリック啓蒙 / 抵抗権 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、バロック期スペインで精緻化された第二スコラ学、とりわけその抵抗権概念が啓蒙期以降の近代思想に与えた影響と意義を検討し、スコラ学と啓蒙を対置する二項対立的な通念を覆す新たな思想史解釈を切り開くことを企図する。スコラ学はこれまで、神の摂理の枠内で理論展開した点で、理性の自律を追究する啓蒙思想とは相容れないものと位置づけられてきた。このため、両者の継承関係はほとんど考察されていない。これに対して本研究は、第二スコラ学の抵抗権概念が、スペイン啓蒙とブリテン・フランス啓蒙という国内外の改革思想に重要な論理的基盤を提供したという仮説を立て、これを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、バロック期(1580~1680年)スペインで精緻化された第二スコラ学、とりわけその抵抗権概念が啓蒙期以降の近代思想に与えた影響と意義を検討し、スコラ学と啓蒙を対置する二項対立的な通念を覆す新たな思想史解釈を切り開くことを企図する。 具体的な目的は、(1)人民に委譲された範囲を逸脱して権力行使する統治者は抵抗の対象になるというスコラ的言説がいかに啓蒙思想に継承されたかを特定すること、(2)本来政権打倒を企図しないスコラ学の抵抗権概念が、市民革命、植民地独立の思想基盤に行き着く経緯をたどり、その近代的意義を提起すること、の2つである。これらの目的を達成することにより、スコラ学は啓蒙、革命、独立の思想に有用な議論を提供し、近代の思想展開に不可欠な役割を担ったという解釈を提示する。 初年度の2023年度は、国内外の図書館や古文書館において、モンカダからホベリャノスに至るスペイン啓蒙と、ロック、スミス、モンテスキューをはじめとするブリテン・フランス啓蒙の一次、二次資料を調査、読解した。これにより、未刊行資料も含めた本研究の底本が確定され、スコラ学と啓蒙思想の具体的な継承関係が解明されつつある。 成果は、英語著作の1章分として完成予定であるが、本年度すでに草稿の執筆にとりかかることができた。また、本学学生・院生、教職員、県内外の一般市民の方を対象とした国際公開セミナーを主催し、今年度資料調査・読解を行った部分について口頭報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では、研究が始動する本年度は国内外の所蔵館等にて、17世紀バロック期から18世紀啓蒙期にかけてのスペイン・フランス・ブリテン思想をめぐる一次、二次文献調査と読解を行う予定であった。けれども実際には、それらに加え、国際公開セミナーを開催し、調査成果の一部を口頭報告できた。このため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初研究計画通り、前半期は引き続きスペイン・フランス・ブリテン啓蒙をめぐる資料調査・読解を行い、後半期はそれらをドイツ、イタリア、ポルトガルのカトリック啓蒙と比較考察する。
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