研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究は、バロック期スペインで精緻化された第二スコラ学、とりわけその抵抗権概念が啓蒙期以降の近代思想に与えた影響と意義を検討し、スコラ学と啓蒙を対置する二項対立的な通念を覆す新たな思想史解釈を切り開くことを企図する。スコラ学はこれまで、神の摂理の枠内で理論展開した点で、理性の自律を追究する啓蒙思想とは相容れないものと位置づけられてきた。このため、両者の継承関係はほとんど考察されていない。これに対して本研究は、第二スコラ学の抵抗権概念が、スペイン啓蒙とブリテン・フランス啓蒙という国内外の改革思想に重要な論理的基盤を提供したという仮説を立て、これを検証する。