研究課題/領域番号 |
23K17501
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齊藤 美穂 神戸大学, グローバル教育センター, 准教授 (20580658)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | JSL児童生徒 / 図画工作 / 日本語 / 学習言語 / オノマトペ / JSL児童生徒 / 日本語指導 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の小中学校では近年、日本語指導を必要とする児童生徒(「JSL児童生徒」)の数が増加している。しかし、学齢相当の教科を学ぶための言語能力の習得には5年はかかるとされる。本研究では、彼らへの言語指導の機会として図画工作の授業に着目し、より効果的な活用法を探る。同科目は、創作活動を通じて生活言語を学べるだけでなく、他の教科学習にも通じる概念を、体験的に学ぶ機会を内包している。そこで、その言語指導の場としての有用性を検証するとともに、具体的な指導案を提案することを目指し、本研究では図画工作教科書の語彙・文型調査、主として英語圏の先行事例に関する文献調査、及び、実際の図画工作の授業現場調査を行う。
|
研究実績の概要 |
本年度は、兵庫県内の公立小学校で採用されている図画工作教科書の確認を行い、該当する1社(日本文教出版)により刊行された図画工作の教科書及び教師用指導書類を全学年分(1・2年生用、3・4年生用、5・6年生用各上下巻)入手し、教科書で使用されている日本語の暫定的なデータベース作成作業を行った。分析の観点探索のため、このデータベースを概観し、特に低学年用教科書で多く見られるオノマトペ(擬音語・擬態語類)の抽出や、頻出文型を分析するためのタグ付け作業を一通り終えた。これにより、対象学年によるオノマトペの出現傾向の変化や、頻繁に使用される文型等を概ね把握することができた。同時にその過程においてデータベースの様式の検討も行い、次年度に行う令和6年度改定版の図画工作教科書のデータベース化と、本格的な分析への準備を行った。 また、国内諸地域における外国人児童生徒に対する日本語教育の実践から知見を得るために、日本語教育学会の秋季大会(11月)や、子どもの日本語教育研究会研究大会(3月)に参加し、情報収集と本研究領域の研究者との交流を行った。併せて近年国内で刊行された関連領域の図書や学術論文、実践報告類を収集し、文献資料調査を行った。 次年度への準備として、予定している図画工作の授業現場における言語実態調査(授業の参与観察)に向けて、神戸市教育委員会に協力を得るために、同委員会の外国ルーツの児童生徒支援担当者に研究の趣旨説明を行い、調査協力者募集について協力の内諾を得た。 以上、本年度は研究成果としてのまとめには至っていないものの、次年度からの本格的な教科書調査や言語実態調査の準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時には、過去の調査結果にもとづき、兵庫県内の小学校で採用されていた2社の図画工作の教科書を対象として、使用語彙や文型のデータベースを作成することを計画していたが、本科研採択後に確認したところ、令和5年度同県内の小学校での採用教科書は1社のもののみとなっていたことから調査対象資料の見直しを行ったため。 また翌(令和6)年度に小学校教科書の改訂が予定されていたことから、令和5年度は改定前のデータとして、採用されている1社分の教科書のデータベースの作成にとどめ、令和6年度に改定後のものを新たに購入してデータベース化し、本格的な調査に入ることとしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
兵庫県内で採用されている令和6年度改訂版の小学校全学年分の図画工作教科書を入手し(後期分は9月後半以降)、データベース化を進める。前年度分のデータと照らし合わせながら、頻出語彙及び文型を中心とした文法の側面から分析を行ってその成果をまとめ、口頭発表を行う。 また、実際の図画工作の授業中に行われる言語活動の実態調査を行うため、神戸市内の小学校の協力を得て、授業の参与観察を行う予定である。これについても同年度内に報告としてまとめ、最終年度における本研究の総括に備える。
|