研究課題/領域番号 |
23K17505
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
大野 直子 順天堂大学, 国際教養学部, 准教授 (90730367)
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研究分担者 |
濱井 妙子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (50295565)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | VR / 医療通訳 / 研修開発 / AR / 多言語社会 |
研究開始時の研究の概要 |
外国人診療における言葉の問題はグローバル社会の喫緊の課題であり,異なる言語や文化を持つ医療従事者と患者間に入り意思疎通の支援を行う医療通訳の重要性は高まっている。しかし,新型コロナウイルス感染症の拡大により,医療通訳者の実践の場,対面での通訳訓練の場,共に不足している。本研究では,医療英語・医療通訳実践の機会損失の解決策として,VR・AR仮想空間で医療通訳学習者が発話練習できる実践的な教材を開発することに挑戦する。 本研究の成果は,医療英語・医療通訳分野において,ポストコロナ時代に要求される次世代の新たな学習モデルを構築することに寄与する。
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研究実績の概要 |
2019 年末から世界的なパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症は,人々の外出行動に大きな変化をもたらした。主要国における外出行動と消費の変化を見てみると,2020 年第 2 四半期(4-6 月期)は,米国・欧州・日本のいずれも外出行動が大幅に抑制された(総務省,令和 3 年版情報通信白書)。コロナ禍でのステイホームの影響下で,非接触・非対面による活動が実現可能な技術が,様々な場面で急速に進展している。なかでも,ネットワークの中に構築された仮想空間,メタバースが様々な分野で注目されている。代表的なツールがVR (Virtual Reality;仮想現実)・AR(Augmented Reality;拡張現実)である。VR・ARは教育分野においても利用されており,Oculus・スマホ対応外国語学習VRアプリ『MondlyVR』など,様々な学習コンテンツが開発されている。申請者は既に医療通訳養成に向けた2D教育システムをMoodleを使用して作成した。しかし,国内において医療英語・医療通訳に関するVR・AR教材はこれまでにない。外国人診療における言葉の問題はグローバル社会の喫緊の課題であり,異なる言語や文化を持つ医療従事者と患者間に入り意思疎通の支援を行う医療通訳の重要性は高まっている。しかし,新型コロナウイルス感染症の拡大により,医療通訳者の実践の場,対面での通訳訓練の場,共に不足している。本研究では,医療英語・医療通訳実践の機会損失の解決策として,VR・AR仮想空間で医療通訳学習者が発話練習できる実践的な教材を開発することに挑戦する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度には国内外のVR・AR教材と活用事例を文献,実地調査することができた。また令和6年度にむけて医療通訳用VR・AR教材開発について申請者の所属する大学と企業との連携について具体的な話し合いをすることが出来た。申請者の所属する順天堂大学と日本アイ・ビー・エム株式会社は,2022年4月に「メディカル・メタバース共同研究講座」を設置し,産学連携の取り組みを開始した。講座では,メタバース技術の活用による新たな医療サービスの研究・開発に取り組んでいる。本研究にあたり当講座は専門知識の提供と開発の支援を行う。遠隔での実習環境を整備するための教材開発について,申請者はこれまで採択された科研研究でオンライン教育プラットフォームMoodleを使用して作成した教材を自習・教育用ツールとして活用し,教育効果検証してきた実績を持つ(2017~2020年,2020~2022度科研費)。さらに,申請者の所属する順天堂大学では新型コロナウイルス感染症の治療をVRで記録し,医学生が疑似体験することが既に行われている。医療英語・医療通訳においてもVR・AR学習システムを開発することで,コロナ禍においても学習効果が期待できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度:医療通訳用VR・AR教材を開発する。令和7年度:医療通訳用VR・AR教材を実践使用,評価する。対象者は医療通訳者または学習者とする。VR・AR仮想空間での通訳データ収集として,診療場面の通訳をZoomで録画する。データ分析は逐語録を作成し通訳変更の評価を行う。VR・AR教材による学習前後の通訳パフォーマンスを比較分析する。また,学習者の学習体験について質問紙調査を実施する。本研究では,厚生労働省のWebサイトで既に発表されている医療通訳実技シナリオや,申請者らが過去に開発した医療通訳学習システムをVR・ARに援用することで,医療現場における医療通訳者のコミュニケーション技術に関する新たな知見が得られる。これらの結果は,在留外国人のみならず外国人観光客に対する医療通訳サービスの質の向上,さらに,医療英語学習者および医療通訳者の英語運用能力と通訳スキル向上に寄与する。本研究の成果は,医療通訳分野において,ポストコロナ時代に要求される次世代の新たな外国語学習モデルを構築することに寄与する。本研究の成果は,言葉の障害による医療過誤の危険性を予防する上で有益な情報を提供することになり,外国人診療において大いに貢献できると考えられる。さらに,医療通訳者のスキル向上には実地経験が必要であるので,本研究の成果は医療通訳者向けのVR実地教育訓練プログラム構築にも寄与できる。
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