研究課題/領域番号 |
23K17522
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
市川 智生 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (30508875)
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研究分担者 |
福士 由紀 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (60581288)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 医療社会史 / イギリス保健省 / 在外公館 / コレラ / ペスト / 感染症 / 東アジア / 疫学状況 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究は、イギリスの在外公館が収集し、旧保健省文書として保管されてきた未公刊資料を用いて、これまで歴史的に情報が欠落していた19世紀後半の東アジアにおける感染症の流行状況を数値化・視覚化する。 2023年度および2024年度の二か年の間に、イギリス国立公文書館において旧保健省文書の感染症関係史料を調査・撮影し、内容を精査する。空白状態であった日本の幕末から明治初期や中国の清末期における感染症流行の状況を、正確な情報に基づいて提示し、過去の人間の疾病および健康をとりまく環境の歴史を描くことを目指す。
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研究実績の概要 |
この研究は、イギリスの在外公館が収集し、旧保健省文書として保管されてきた未公刊資料を用いて、これまで歴史的に情報が欠落していた19世紀後半の東アジアにおける感染症の流行状況を数値化・視覚化することを目的としている。 2023年度は、代表者および分担者がイギリス国立公文書館において、保健省文書であるMH19(1834~1909年、280ファイル)およびMH98(1805~1882年、25ファイル)の閲覧および撮影作業を実施した。MHは18点まで撮影を行い、MH98はすべてのファイルの撮影が完了した。あわせて、MH20がMH19のRegister(件名簿)であることが判明したため、こちらの閲覧・撮影作業も並行して進めることにした。 上記の作業を通して得られた資料には、1880年代の日本のコレラ、1900年前後の中国各地のペストに関する情報が含まれている。これらは、両国の医療社会史研究ではこれまでまったく利用されてこなかったものであり、本研究を通して、東アジアにおける急性感染症に関する疫学情報が国際社会においてどのような意味を持っていたのかを歴史的に検討する必要がある。 また、MH19およびMH98には、確かに東アジアに関する感染症の流行記録も含まれているが、主に収録されているのは、エジプト、トルコ、ロシア、スペイン、ドイツなど、19世紀後半以後にイギリスが社会経済な関係を維持していた地域のものである。管見の限りでは本文書群を利用した医療社会史研究は存在しないため、史料論的な議論を踏まえて、ヨーロッパ各地の情報についても予備的考察を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者および分担者は予定通りイギリスに2度づつ渡航し、国立公文書館において史料調査を実施することができた。本研究計画が検討対象としているイギリス保健省文書(MH)は問題なく閲覧・撮影することができており、今後は撮影した文書の解読と歴史的分析が待たれる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、イギリス保健省文書のうちMH20を網羅的に閲覧・撮影した上で、MH19のうち東アジアの疫学情報が含まれているファイルを選択して収集する予定である。 資料の解読を通して、東アジアにおける疫学情報を日本および中国における記録との比較を行う。また、将来的な研究の発展を念頭に、ヨーロッパ各地の情報についても予備的考察を行う予定である。
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