研究課題/領域番号 |
23K17525
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 開発 / 換金作物 / 市場経済化 / ラオス / 健康影響 |
研究開始時の研究の概要 |
人類は地球を「開発」し、自らの生存システムを変容させてきた。その結果、平均的に評価する限りにおいては、より豊かな食生活、少ない身体活動レベルでの生活が可能になった。一方で、「開発」は地球環境に深刻なダメージを与え、人為的な化学物質への暴露は増加し、高血圧や糖尿病などのいわゆる現代病が出現した。本研究では、ラオス北部の中国国境に近い少数民族地域で拡がる中国資本によるサトウキビの契約栽培を事例として、「開発」が人類の生存と環境に与える影響を網羅的に評価することを目的とする。
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研究実績の概要 |
人類は地球を「開発」し、自らの生存システムを変容させてきた。その結果、平均的に評価する限りにおいては、より豊かな食生活、少ない身体活動レベルでの生活が可能になった。また、個人はより長生きになった。一方で、「開発」は地球環境に深刻なダメージを与え、人為的な化学物質への暴露は増加し、高血圧や糖尿病などのいわゆる現代病が出現した。このような開発をめぐる多面的な評価の重要性については多くの人がみとめるものの、具体的な実証データは乏しい。本研究は、ラオス北部の中国国境に近い少数民族の住む地域で拡がる中国資本によるサトウキビの契約栽培を事例として、「開発」が人類の生存と環境に与える影響を網羅的に評価することを目的とする。2023年度は、ウドムサイ県における6つの対象村落での調査を実施し、1)村の代表者を対象にした、村落の生業史、換金作物栽培史についての聞き取り調査、2)村の世帯を対象にした、世帯経済にかかわる聞き取り調査、3)食生活にかかわる聞き取り調査、4)人口指標の間接推定のための聞き取り調査を実施した。その他、村落に滞在しながら、住民がサトウキビ栽培の導入をどのように評価しているかについての聞き取り調査をおこなった。さらに、サトウキビ栽培の導入にともなう腸内細菌叢への影響を評価するための事前準備および実験をおこなった。これらの調査の結果、サトウキビ栽培の導入にかかわる背景、その受け入れられている範囲、住民の生活時間、食生活、世帯経済に与える影響が明らかになった。尿サンプルを用いた予備的な分析により、ネオニコチノイド農薬については曝露量が必ずしも大きくないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した対象村落での調査が実施され、サトウキビ栽培の影響にかかわる記述的なデータが得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は対象村落を訪問し、サトウキビ栽培の影響評価のための観察研究を継続する。また尿サンプルを収集し、農薬類・重金属の暴露評価、濾紙血を用いた健康状態を反映するバイオマーカーの評価、衛星写真を用いた土地利用の経年変化の評価をおこなう。
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