研究課題/領域番号 |
23K17540
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山本 慎一 香川大学, 法学部, 教授 (50583275)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | ナッジ / ナッジ理論 / 国際法 / 履行確保 / 実効性 / 国際公共政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、行動科学の知見を用いて主権国家に対する国際条約の履行確保手段のあり方を研究する。具体的には、ナッジ理論の考え方を国際条約の履行確保手段に応用し、いかにして主権国家に国際条約を履行させるか、その方策を国際公共政策として探究する。行政法や労働法の分野においては、一国内における公共政策や望ましい社会政策のためにナッジ理論を用いて法政策のあり方の研究が進められている。本研究ではこれを国際公共政策の問題として応用し、国際社会の共通利益を念頭においた多数国間条約の履行確保を主権国家に促す手法としてナッジ理論を研究し、国際法学の分析枠組みに導入して検討を行うものである。
|
研究実績の概要 |
本研究は、行動科学の知見を用いて主権国家に対する国際条約の履行確保手段のあり方を研究しようとするものである。具体的には、ナッジ(nudge)理論の考え方を国際条約の履行確保手段に応用し、いかにして主権国家に国際条約を履行させるか、その方策を国際公共政策として探究することが本研究の目的である。先行研究としては、ナッジ理論の実証実験が行われている行動経済学の分野だけでなく、法学領域でその応用が進んでいる分野、とりわけ行政法および労働法の研究動向に加えて、ナッジ理論に基づいた政策手法を思想・哲学・倫理的観点から問い直す法哲学の知見を参照し、主として文献研究を中心に進めて国際法学の領域へ導入し、国際公共政策としての応用可能性を探究することを予定している。 そこで本研究課題では3年間の研究計画を設定し、本年度は初年度として、「ナッジ理論の基礎概念と実定法分野への展開に関する研究」をテーマに掲げて研究を進めた。 初年度は行動科学の領域において展開してきたナッジ理論について、特に行動経済学の分野で進展する実証研究の手法と成果を手がかりに、その理論的枠組みの基礎を研究することを計画しており、行動経済学分野のナッジ理論に関する書籍や論文等の基礎文献の収集を進めたほか、2023年12月に行動経済学会が隣県の高知市内で開催されたこともあり、ナッジに関するセッションを傍聴して行動経済学分野におけるナッジの最新の議論動向の知見を得ることに繋がった。 また、初年度の計画では行政法や労働法をはじめとする実定法分野への展開状況を研究し、同理論の学際的性格と学術的な位置づけを明確にすることを目標としていたが、2024年3月に行政法研究者を討論者として招いての科研費セミナーを香川大学において開催することができ、本研究課題の問題意識に対する意見交換を行う機会を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画通り、行動経済学分野の学術研究の動向を調査するとともに、行政法研究者を討論者に招いての科研費セミナーを開催して意見交換を行うことで、本研究課題の基礎的な研究を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目は「ナッジ理論を応用した公共政策と思想・哲学・倫理的課題に関する研究」をテーマに掲げており、この分野に関連した文献調査を進めるとともに、初年度のテーマである「ナッジ理論の基礎概念と実定法分野への展開に関する研究」において収集した文献の読解と整理を行い、論文執筆を進めていきたい。
|