研究課題/領域番号 |
23K17543
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分6:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
尾野 嘉邦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70598664)
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研究分担者 |
菊田 恭輔 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターアフリカ研究グループ, 研究員 (70865196)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 自然実験 / 世論 / 天然資源 / 紛争 |
研究開始時の研究の概要 |
いわゆる「資源の呪縛」論に代表されるように、これまで天然資源と国内・国際紛争の関係については膨大な研究がなされてきた。しかし、そのほとんどがマクロなレベルでの相関関係の分析にとどまっており、天然資源が国内・国際紛争にいたるミクロなレベルでの因果メカニズムはまだ明らかではない。本研究は、偶然起こった出来事を利用する自然実験のリサーチデザインのもとで、地球上の油田開発に関する詳細な地理データ、245万人以上の回答者を含むグローバルな世論調査データ、そして3,800万件以上の記事に基づいた紛争のイベントデータなどを分析し、ミクロレベルの仮説を検証していく。
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研究実績の概要 |
本研究は、自然実験というアプローチを用いて因果推論を行い、「資源の呪縛」論をめぐるミクロレベルでのメカニズムを明らかにしようとするものである。具体的には、天然資源である油田の発見が世論及び紛争に与える影響をミクロレベルで検証する。大きな仮説として、①油田が国境線近くで見つかった場合、人々のナショナリズムを高揚させ、その結果、国家間での紛争を発生させることが考えられる。また、②油田が国内(特に民族集団の地理的な境界)で見つかった場合には、民族間での利害対立を深め、民族的なアイデンティティを高め、結果として国内での民族紛争を引き起こすことが考えられる。これらの仮説について検証するために、地理データを始め、世論調査の個票レベルのデータなど、複数の種類からなる巨大なデータを、実証的に分析する計画である。本年度は、そのためのデータセット(Gallup World Poll)を入手し、その中から研究に必要な変数などを整理した。また、地球上の油田開発に関する詳細な地理データについても、研究に必要な変数を特定する作業を行った。政治学において自然実験のアプローチを用いて行われた研究として、自然災害やスポーツイベントなどの偶発的な結果が政治や世論にどのような影響を及ぼしているかについて検証する既存研究が存在しているが、今回入手したデータをそれらの研究にも応用することができるかどうかについて、併せて検討した。このほか、当該年度においては、政治学分野だけではなく、社会科学の他の分野の研究者らを集めた研究会を開催し、自然実験アプローチの有用性や応用可能性について幅広く議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に必要なデータセットについて、ほぼ当初の予定通りに入手することができた。データセットが巨大であるため、その整理に時間がかかっているが、順調に作業が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
地球上の油田開発に関する地理データと世界各国で行われた世論調査の個票レベルのデータを整理した後、それらを併用して分析する作業を行う予定である。また、入手した世論調査のデータが自然災害やスポーツイベントといった偶発的な出来事が政治や世論にどう影響するかというテーマにも応用できるかどうかを模索し、自然実験アプローチの政治学的有用性について探る。そしてそれらをもとにした結果を論文化し、学会や研究会などで研究発表を行う。
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