研究課題/領域番号 |
23K17559
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
河端 瑞貴 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60375425)
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研究分担者 |
直井 道生 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (70365477)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 地理空間情報 / 地理情報システム(GIS) / 都市・地域経済分析 |
研究開始時の研究の概要 |
地理空間情報技術が飛躍的に進化し、高精度地理空間情報の整備公開が進んでいるが、経済学での活用事例は少ない。そこで本研究では、都市・地域経済分析における高精度地理空間情報の活用法を開発し、先端的な地理空間情報を活用した空間的因果推論手法の開発およびその応用研究を行うことに挑戦する。空間的に密で先端的な地理空間情報を活用すれば、空間スピルオーバーの精緻な特定やコントロールができるなど、空間的因果推論の手法と応用研究に新たな展開をもたらす可能性がある。
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研究実績の概要 |
最新の高精度地理空間情報を調査した。地理情報システム(GIS)と先端的な地理空間情報を活用した都市・地域経済分析を行った。具体的には、空間的因果推論の手法の一つである空間回帰不連続デザインを用いて、東京都の危険密集市街地整備の経済効果を分析した。その結果、危険密集市街地の解消がその境界付近の地価を上昇させる影響のあることが明らかになった。さらに、境界の道路幅員の広いサンプルを用いると、Stable Unit Treatment Value Assumption (SUTVA)の違反となる空間スピルオーバーが低減され、より信頼性の高い推定値を得られることが示唆された。東京都は、「防災都市づくり推進計画」をはじめとして、延焼遮断帯となる特定整備路線等の整備を重点的に進めてきた。本分析の結果から、こうした都市防災整備が大きな経済的便益をもたらす可能性が示唆された。 その他の研究として、秋田県での高齢者の空間分布と地域包括支援事業施設へのアクセシビリティ、東京23区内の口コミ情報に基づく街の評価と地価の関係、首都圏の空家の空間クラスターと地価、東京23区における企業の業種別の空間集積と業績、コロナ禍に伴う東京の人流変化と飲食店増減の関係、さらに深セン市の住宅地地価と公園緑地の関係を分析した。 これらの研究成果は、ディスカッションペーパーや地理情報システム学会、International Association of Geo-informatics 2023で発表した。コロナ禍における人流変化と飲食店増減のパラドックスに関する研究は、地理情報システム学会の2023年度ポスターセッション賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、次の3つの主要な課題に取り組む。(1)都市・地域経済分析における地理空間情報の高度な活用法の開発、(2)先端的な地理空間情報を活用した空間的因果推論手法の開発、(3)開発した空間的因果推論手法の都市・地域経済分析への応用。これら(1)、(2)、(3)の課題について、いずれも概ね計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)引き続き、最新の高精度地理空間情報を調査する。GISソフトウェア(ArcGISやQGIS)はマイナーバージョンアップを含め、年に数回アップデートされている。高精度地理空間情報に対応するプラグインや新たなツールも公開されている。これら最新のGISやツールを用いて地理空間情報を読み込み、加工する方法を理解し、どのデータ・形式が都市・地域経済分析にどのように有益であり、どのように活用可能かを明らかにする。 (2)先端的な地理空間情報を用いた都市・地域経済分析を行う。特に、既に応用研究に着手している因果推論の一手法である空間回帰不連続デザインにおける高精度地理空間情報の活用法を開発する。 (3)高精度地理空間情報を用いた空間的因果推論手法を都市・地域経済分析に応用する。
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