研究課題/領域番号 |
23K17583
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
関 由起子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30342687)
|
研究分担者 |
小俣 智子 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (00459976)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 病弱教育 / 小児がん / 緩和ケア / QOL / 学校教育 / 心的外傷後成長 |
研究開始時の研究の概要 |
ターミナル期にある患者のQOL(Quality of Life: 生活の質)への支援は緩和ケアにおいて重要であり、学齢期にある子どものQOLに教育は欠かせない要因である。本研究では、ターミナル期の子どもへの教育の実態と課題について明らかにし、今まで注目されてこなかった教育が緩和ケアにおいて果たす役割と、医療と教育の連携の実際と効果について、小児がん拠点病院、および先駆的な教育的取組を行っている特別支援学校にて質問紙調査および事例調査、分析および考察を行い、明らかにする。
|
研究実績の概要 |
1年目は以下の3つについて研究を行った。 (1)病弱教育の現状およびターミナル期の教育と保護者支援に関する実態と課題:全国15の小児がん拠点病院のうち、1校の学校教員3名に、小児がんのターミナル期の子どもへの教育の実際と課題についてインタビュー調査を行った。本学校は先駆的な取り組みを実施している学校であり、学校教員による緩和ケアの実際や、教員ならではの関わりなどが実践から明らかになった。また、子どもの入院先の主治医や医療従事者の学校教育の重要性に関する意識、およびこどもの医療やケアに関する情報提供が、学校における緩和ケアの実践に大きく影響し、医療従事者への学校の意義に関する意識改革が必要であることも示唆された。 (2)文献や過去の調査資料による病弱教育と緩和ケアの関係に関する分析:既存の資料やデータを分析し、重篤な疾患を抱えるこどものQOLを考えるうえで、学校教育や学校における様々な人々の関わりが非常に重要であることを明らかにした。特にPTG(Posttraumatic Growth;心的外傷後成長)に焦点を当て分析した結果、学校の教員や友だちからの有効な支援が、将来のQOLやPTGに関連していることが明らかとなり、本結果は、2024年度の国際学会で発表予定である。 (3)小児がんのこどもを持つ親の会主催の「小児がん患者への支援に関する基礎調査」の実施:親の会主催の調査に研究者として関わり、入院当初からの緩和ケアの重要性や、医療従事者や学校、職場の理解と課題について、こどものQOLの視点から明らかになるような調査票づくりに努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究に関する倫理の審査が遅れ、2023年度に調査を打診できた病院と学校は全15施設中2施設のみであり、実現したのは1校のみであった。審査の手順については審査委員会に申し入れ、改善を求めた。遅れを取り戻すため、2024年5月に15施設が集まる会合への出席を願い入れ、本調査の説明と依頼を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)病弱教育の現状およびターミナル期の教育と保護者支援に関する実態と課題:全15拠点病院の小児がん相談員の会合に出席し、本研究への説明と協力を募り、相談員および付設の教育施設へのインタビュー調査、アンケート調査を進める。今年度は2ヶ月に1施設の訪問調査を計画し、半数の7施設を目標とする。 (2)小児がんの親の会主催のアンケート調査:本調査に研究者として協力・実施・分析を行う。主催はあくまでも親の会であり、当事者とその親の期待および納得するような支援を行い、緩和ケアとこどものQOLとの関係が明らかになるような調査票作りを提案し、進める。 (3)学校教育による緩和ケアや重篤な疾患をもつこどものQOLへの影響に関する論文を執筆する。また、本研究の成果や国内外での学会で発表するほか、医療従事者や教育関係者の養成課程や研修に本調査結果を用いる。
|