研究課題/領域番号 |
23K17584
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
野村 純 千葉大学, 教育学部, 教授 (30252886)
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研究分担者 |
土屋 綾子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (00970716)
高谷 里依子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (20772370)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | GIGAスクール / 教育デジタルトランスフォーメーション / 保健室デジタルトランスフォーメーション / 心の健康 / 未病状態 / 健康情報システムの多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
保健室DXの基本システム開発を目指す。このメリットとして以下がある。イ)健康情報は文部科学省(成長、健康)、日本スポーツ振興センター(負傷・疾病)、保健所(感染症情報)が収集しておりデータがあり、DXに適している。ロ)健康情報は、子供たちの精神・心理状態を反映すると予想され「いじめ、虐待、不登校」などを早期に「未病状態」のうちに見出せる可能性を秘めている。ハ)「未病検出」には教務データの併用が効果的と予想されるが、現時点では教務データは地区市町村の教育委員会、学校でも書式が異なり、共有が困難な状況である。保健室DXと教務データ連携活用有効性を現場教員に認識させレガシーシステムの改革につなぐ。
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研究実績の概要 |
Society5.0では現実社会とバーチャル社会が融合し、人中心の新しい世界として各人の幸福が実現されることが目指されている。この実現のため、国全体でデジタル化の取り組みが進む中、教育分野においても小中学校におけるGIGAスクール構想の実装とともに業務のデジタル化が全国規模で進められ、各種情報の分析や共有により、今まで以上に細部まで行き届いた学習指導や生徒指導等の教育活動が実現できるなど、様々な恩恵を受けることができると考えられている。本研究の目的は、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)をGIGA孤島化している「保健室DX」を起爆剤として推進することである。本研究の中で保健室の持つ情報を可視化するシステムを構築し、これと教務系データを合わせることで、学校の現代的課題である「いじめ、虐待、不登校」などを早期に「未病状態」のうちに見出すことを可能することを目指すものである。 DXのためには共有可能データ収集の基盤構築が必須である。一方、行政は縦割りのため健康データといえども書式の多様性が教育行政区ごとに存在すると考えられる。本年度は実際にどのような多様性があるかについて千葉県の学校を対象に広く調査を実施した。この結果、回答があった621校のデータから約80%の学校が健康診断データのデジタル化をしていた。逆に言うと2割はまだしていなかった。一方、健康観察システムのデジタル化は7%以下であり、まだ端緒についたところであった。さらに健康データ収集システムのバリエーションには想定をはるかに上回る多様性が存在していることが判明した。多くの学校が共通して使用していると考えられるものでも13あり、このほかに独自のものなど100以上のシステムが存在することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、GIGA孤島化している「保健室DX(デジタルトランスフォーメーション)」を起爆剤として、教育DXを推進することである。心身の健康は児童生徒が学校で十分な学びを得、成長する上で必須である。しかし特に近年において、保健室登校や心の不調を訴える児童生徒の増加は著しいものがある。これらの背景にはいじめや虐待、不適切な生活環境などの問題がある。児童生徒はこれらに必死に耐えながら頑張って学校に来ており、そして実際に顕在化した時にはすでに後戻りが困難な状態になっている。このため、いわゆる「未病状態」のうちに児童生徒の抱える問題を発見し、対処することが求められている。本研究の中で保健室の持つ情報を可視化するシステムを構築し、学校の現代的課題である「いじめ、虐待、不登校」などを早期に「未病状態」のうちに見出すことを可能にすることを目指すものである。 本年度は、千葉県養護教諭会の協力を得、千葉県内の全学校種、全地域の学校を対象に健康情報のデジタル化の現状を調査し、これを分析した。この結果、学校の健康情報のデジタル化の状況を確認し、約8割の学校が導入していることが分かった。一方で健康情報に種類によってはデジタル化が進んでいないことを明らかにすることができた。さらに驚くべきことに健康情報の収集システムのバリエーションが研究着想時の想定を超えてあることも分かった。 このように新たな発見を含む結果を得られたため、順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
まず、健康情報のデジタル化の多様性についてさらに詳細にデータ収集を行う。教務情報の多様性に関しては事前の聞き取りで判明していたが、健康情報のような管轄官庁がはっきりしていて、定型的にかつ定期的に収集されている情報に関しても収集システムがこのように多様であることは想定外の発見であった。GIGAスクール構想により教育データのデジタル化を進め。教育データのビックデータ化による効率的かつ個別最適化した教育を目指すためには課題である。この部分に関しどのように多様化しているのかについて健康データ収集システムを現場において確認し、この多様性の本質を明らかにする。 この成果をもとに保健室DXに資する研究成果を上げる。
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