研究課題/領域番号 |
23K17587
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
和田 直也 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (40272893)
|
研究分担者 |
井田 秀行 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (70324217)
植原 俊晴 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (30887279)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | 生物季節観測 / 理科教材 / セミ / 初鳴日 / 生物季節 / 音声モニタリング / サウンドスケープ / 気候変動 / 環境教育 |
研究開始時の研究の概要 |
生物季節観測は、小学生児童が生活を送る地域の中でも観察が可能な動植物を対象にしており、気候変動の進行具合やその影響を簡便に検出できると同時に身近に感じることができる取組みとして重要である。本研究の目的は、多様な「ランドスケープ」が存在する小学校に通学する児童を対象に、理科教育の一環として生物季節観測に関する教材を開発することにある。音声記録装置を用いた定点観測網により当該地域における「サウンドスケープ」を明らかにし、対象動物の音声(鳴き声)の季節変動と日周リズムを定量化して、初鳴日特定や生物多様性評価を行う。気象庁の事業を地域の小学生児童が部分的に引き継ぐ形で社会実装化することも試みる。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、気象庁が管轄する地方気象台に近く、周辺に多様なランドスケープが存在する小学校に通学する児童を対象に、理科教育の一環として生物季節観測に関する教材を開発すると同時に、児童による生物季節観測を社会実装化することにある。 富山地方気象台に最も近い富山市立桜谷小学校においては、3年生児童2クラスを対象に、総合学習の時間割の中でセミの初鳴日観測に関連する授業を令和5年6月6日(火)に実施した。富山地方気象台の業務を説明した後、生物季節観測やセミの種類と鳴き声を学び、セミの初鳴日記録用の野帳を配布した。登下校時及び夏休み中にセミの初鳴日観測を依頼し、夏休み明けの9月に児童から野帳を一時的に回収、複写後に児童全てに野帳を返却した。令和5年12月15日(金)に再び授業を行い、観測結果を報告、優れた観測を行った児童数名を表彰した。富山市内に設置した6台の音声記録装置及び研究代表者の研究室メンバーによるセミ数種の初鳴日と児童が記録した初鳴日を比較したところ、児童による初鳴日観測は音声記録装置や大学院生等による観測に比べてやや遅れる傾向にあること、数名の児童がかなり早い時期に初鳴日を記録していたこと、ニイニイゼミとアブラゼミの鳴き声の識別が困難なこと等の課題が明らかとなった。さらに、富山市立桜谷小学校に加えて同市立長岡小学校と五福小学校でも実施する方向で調整を行った。 長野地方気象台近くの長野市内小学校2校(加茂小学校、城山小学校)と信州大学教育学部キャンパス内(両小学校区の境目付近)の屋外にそれぞれ1台ずつ音声記録装置を設置し、試験運用を開始した。現在、全天候下で問題なく生物(現在は主に鳥類)の鳴き声を録音できることを確認している。また、城山小学校4年生児童を対象に、セミの名前と鳴き声を関係づけて覚えてもらう教材やセミの鳴き声を聞いた日時と場所を記録する冊子を作製した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、1)児童による登下校時間を利用したセミの初鳴日の観測・記録、2)音声記録装置を用いた教材となる動物の検出、3)登下校時における児童の位置と時間を小型GPSにより特定した上でその周辺に配置された音声記録装置による定点観測結果との照合、を計画していた。1)から3)について、人を対象とし医療を目的としない研究の倫理に関する規則に沿った審査に時間を要しており、特に3)については実施の可能性が不明瞭である。連携する小学校と十分な協議を行なった上で、まずは1)及び2)についての準備を進め、3)については調査方法の見直しを含めた検討を行う必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
富山市においては、富山市立桜谷小学校に加えて同市立長岡小学校と五福小学校においても音声記録装置を設置するとともに、総合学習あるいは理科の授業の中でセミの観察や初鳴日観測を実施する。授業の準備を進める中で、校内におけるセミの抜け殻観察等も組み合わせて、各小学校の事情に合わせた教材の開発を行う。音声記録装置については、各小学校の校区における児童の登下校ルートを把握した上で、適切な緑地を選定し設置を行う。 長野市においては、令和6年4月以降に複数の音声記録装置を設置するため、両学校区(加茂小学校・城山小学校)のうち、できるだけ多くの児童が利用する通学路付近の公園2地点と両校区の中間地点(湯福神社)を抽出し、現在、設置許可申請準備段階にある。さらに、研究協力校である長野市立城山小学校と協議し、4年生を対象に理科の学習として生物季節観測に関わる授業を計3単位時間実施する。また、もう1つの協力校である長野市立加茂小学校とも生物季節観測に関する授業について協議を行い、可能な範囲で授業を行う。
|