研究課題/領域番号 |
23K17591
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清野 健 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40434071)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 教室音響 / Voice Handicap Index / 音声障害 / 学校教室音響 / 音声認知 / 発声障害 |
研究開始時の研究の概要 |
国内では,小中高校の通常教室において肉声による教授が定着しており,教師の熱意を伝えるためにも,肉声での伝達が重要という意見は根強い.そのため,肉声による教授の利点・欠点の客観評価,その他の方法 (マイクの導入や遠隔授業など)との比較,教室音声の課題の発見といった学術的取り組みは,ほとんど行われてこなかった.そこで,本研究では,学校教室における音および声に関連した問題点を,実環境の調査に基づき明らかにし,効果的な学びにつなげるための音声環境学および音声認知学を構築を目指す.
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研究実績の概要 |
小学校,中学校,高等学校の教員を対象として声や喉の負担に関するアンケート調査を実施した.本調査では,教員が経験している声や喉への負担,それらによるQuality of Lifeへの影響,学校教室内外の騒音に関する影響を調べた.声や喉への障害に起因する Quality of Life への負担の調査には,アメリカで開発された自覚的評価指標である Voice Handicap Index (VHI)を使用した.埼玉県内の学校教員を対象に調査を行い,小中学校教員180名のアンケート結果を分析した.アンケート調査の結果,2割を超える教員が「教室で騒音が気になる」,「児童生徒が騒音の影響を受けていると感じる」,「音を理由に、周りの教室に気を遣う」と答えた.また「教室では、声が通りにくいと感じることがあります」という回答も2割近くあった.今回のアンケート調査の自由記述欄には「この調査を必ず環境改善に生かしてほしいです。」,「みんな心身削って仕事してます。とても持続可能ではないです。」,「教員で常時声をだして喉頭部に負担がかかり、声がかすれていたり、声をだしづらい方もまわりにいます。」(原文まま) といったコメントが寄せられた.これらのコメントは,教員の声について,解決すべき課題が残されていることを示唆している.以上の成果を,日本音響学会春季研究発表会で発表した.
児童・生徒の教室における聞こえに関するアンケート調査を行った.本調査は,埼玉県内の小中学生の保護者を対象に,児童・生徒が学校生活で体験している音に関する状況について,親子で回答する形式とした.約1000名の保護者から回答を集めることが出来た。今後,このデータについて分析を進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教員を対象とした調査,児童・生徒を対象とした調査については,計画通り実施することができた.しかし,児童・生徒の声の認知に関する研究については,新型コロナウィルス感染症の予防を重視し,実施することができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,吸音材や拡声システムの設置による教室内音環境改善効果を検証する.児童・生徒が学ぶ学校教室における音環境改善のために、建築音響(遮音・吸音)の改善効果,および,電気音響(拡声)の導入による改善効果の評価を実施する.本研究計画については,既に倫理委員会の承認を受けており,2024年度に,小中学校の協力をえて実験を実施する.教室内に吸音材を設置した場合とそうでない場合(吸音あり・なし),および,拡声システムを使用する場合とそうでない場合(マイクあり・なし)の組み合わせ計4通りの条件を用意し,それぞれの条件下で教室音響の計測,および,アンケート調査を実施する. マイク・スピーカーシステムなどの電気音響(拡声)導入による学習効果についても,研究を行う.外国語学習,日本語学習,その他の科目について,教室内の音の改善が学習効果の改善につながるかどうかを検証する.
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