研究課題/領域番号 |
23K17597
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
矢野 宏光 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (90299363)
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研究分担者 |
松本 秀彦 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (70348093)
鈴木 恵太 岩手大学, 教育学部, 准教授 (50582475)
秋田 裕太 米子工業高等専門学校, 総合工学科, 講師 (70966522)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 特別支援学校 / 剣道 / 武道 / 剣道形プログラム / 知的障害児 / 剣道授業 / 武道授業 / 特別支援教育 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの武道の授業は障害がある生徒が想定されておらず、知的障害児を対象とした武道授業モデルもほとんど見つからない。特に剣道授業では、知的障害児が素早く剣道具を脱着できないという課題もあり未整理の状態である。そのため、剣道授業によって“知的障害児の心が育まれる”という学術的データも存在しない。そこで、申請者らは数年前から知的障害児の剣道授業の試行を開始し、木刀のみを使用した剣道授業モデル(KKP)を開発した。 本研究では特別支援教育における剣道授業にKKPを適用し、剣道、運動心理学、特別支援教育の専門家が連携して知的障害児の心理社会的側面の影響を明らかにすると共に有効な剣道授業を検討する。
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研究実績の概要 |
学習指導要領の改訂により,2021年度から特別支援学校においても武道が完全実施となった。しかし,これまで知的障害児を対象とした「武道の授業モデル」もほとんど存在せず,まして心理的側面に焦点をあてた学術的データなど皆無であった。そのため,著者らは知的障害児の剣道授業の実践に向け,木刀のみを用いた「剣道形プログラム(以下KKP)」を考案し,その実践研究の中で知的障害児の気分や感情が肯定的に変容することを確認した(矢野ら,2023)。だが,客観性とデータ数に乏しく,より多元的にKKPが知的障害児の心理的側面に与える影響を評価する必要性が認知された。そこで本研究では,KKPの施行が知的障害児の気分及び心理的側面に与える影響を検証した。 (1)KKPが研究対象者の気分に与える影響を検討した結果,剣道授業後に「安定度」「活性度」「快適度」が有意に上昇し,授業回後半に向けて気分は肯定的に推移していることが確認された。(2)KKPの特徴を明確化するため,剣道以外の体育種目との比較を実施した結果,授業後に「活性度」「快適度」が上昇することが判明した。また,剣道と水泳においては授業後に有意に安定度が高まることが明らかになった。(3)KKP開始前と終了後での心理的側面の変化を,SDQを用いて分析した結果,この期間における有意な心理的側面の変化は認められなかった。しかしながら,SDQを構成する1領域の「行為」の効果量が肯定的に高くなり,カッとなったり,けんかしたりするような困難な行為の減少が示唆された。(4)KKP前後でのストレス値の変化を分析した結果,剣道授業前のストレス値には個人差が非常に大きいが,剣道授業後には20から30KU/Lの基準値内に安定することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の採択が6月30日付で決定し,その後の研究開始となったため,研究結果がまとまるのが年度末になり,慌ただしかったと言えるが,本研究はおおむね計画どおりに終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで,武道授業によって“知的障害児の心がどのように変化するか”というような,心理的側面に焦点をあてた学術的データなど皆無であったため,未だに客観性とデータ数は十分とは言えない。今後もより多元的にKKPが知的障害児の心理的側面に与える影響を評価する必要性がある。そのため,今後の研究においては,KKPの施行が知的障害児の気分及び心理的側面に与える影響を検証すると共に,KKPの特徴をより明確にし,さらなる適用可能性を検討したい。
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