研究課題/領域番号 |
23K17610
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋野 晶寛 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (60611184)
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研究分担者 |
荻原 克男 北海学園大学, 経済学部, 教授 (70242469)
川上 泰彦 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70436450)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 教育政策 / EBPM / 研究利用 / 知識利用 / 知識の政治 / 政策過程 / 教育行政学 |
研究開始時の研究の概要 |
教育政策研究が取り結ぶ学術(界)と社会の関係はいかにあり、また、あるべきか。政策改善に向けた知の形成・蓄積を制約してきた条件は何か、それを克服する可能性はどこに見いだせるか。本研究の目的は、この問いの解明を通じ学術と社会の協働に向けた基盤条件を築くことにある。具体的には、教育政策分野における研究という営為を、1)教育学の研究史・学説史、2)公共政策論における研究利用論、3)科学論(科学哲学・科学史)、というメタレベルの視点から捉え直し、教育分野の学術と社会のコミュニケーション、その一形態としての今日のEBPMの考察の解像度を高めることを試みる。
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研究実績の概要 |
今年度は、統計的因果推論の技術的側面が教育政策におけるEBPM(「エビデンスに基づく政策立案」)にもたらす含意を考察した。EBPMをめぐると政策過程に関する議論は技術的議論(統計的因果推論の手法開発・適用)とは独立に行われる傾向があり、エビデンスを創出する技術の内実およびエビデンスの不確実性に起因する政治性の含意に着目がなされてこなかった。教育政策に関する調査データにおいては、必ずしも標準的な観察データに関する統計的因果推論の手法が適用できないことが少なくない。特に国際調査も含め、クロスセクションデータとして得られる大規模調査は有益な情報を含んでおりながら、従来の手法を用いることができない。非従来的な手法――条件付き不均一分散・高次積率に基づく識別戦略――に着目した上でその適用を行い、教員の労働環境に関するデータについて従来の手法が適用できないことによる不作為の政策過程上のリスクを検討した。この研究の成果については、国際学会において報告1件を行った(2024年度に論文として投稿予定)。 これらの他に、今年度の作業としてEBPMの政策過程に関する理論的検討を行った。政策過程論としてのEBPMへ着目した先行研究は少なく、政治学・公共政策論における政策過程論、研究利用・知識利用論、科学史、教育学における研究・実践パートナーシップ(research-practice partnership)論等を手掛かりとして文献サーベイを行った。一部の成果については2024年度以降に論文として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に係って2023年度に行った作業は以下の3点である。 第1に、教育政策におけるEBPMの政策過程に関する考察を行う上で、社会科学内外の諸分野の理論的文献――教育学、政治学、評価論、科学論等――における議論の整理を行った。具体的には、教育行政研究における学説史、研究・実践パートナーシップ(research-practice partnership)論を、知識の政治・専門性の政治、研究利用・知識利用、統計学の科学史等を対象とした。議論が複数の学問領域に及んでいるため、統合的な枠組みに向けた整理に時間を要しているが、次年度において理論的な検討の成果を順次発表していく予定である。 第2に、教育政策・行政分野における実務アクターを対象とした調査の準備である。この作業に関しては、分析枠組みおよび調査内容の打ち合わせを行った。2023年度に一定程度の進捗が見られたが、次年度も継続して検討を重ねてゆく予定である。 第3に、統計的因果推論の技術的側面が教育政策におけるEBPMにもたらす含意の考察である。この研究の成果発表については国際学会において行った。2023年度末時点で海外ジャーナルへの投稿に向けて準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降の研究推進の方策は以下の3点である。 第1は、教育政策分野のEBPMの政策過程の理論的検討の継続である。理論的検討は2023年度の作業でも行ってきたが、現時点で教育分野の事例研究の検討は網羅性を欠いている。特にアメリカの教育政策の文脈では、研究・実践パートナーシップ(research-practice partnership)論に基づく研究、機械学習の教育分野の適用に関わる文献が増えており、それらの研究動向を整理した上で、既存の政策過程論への位置づけを試みる。 第2は、教育行政分野の学説史的検討である。学知を媒介とした研究と社会のコミュニケーションについて、過去の教育行政・政策研究がどのような企図を抱いていたかという点を歴史的に検討する。今日的な意味でのエビデンスを学知の形態の1つと捉えた上で、研究者共同体が、どのような学知を政治・実務アクターに提供し、それらがどのような機能を果たすことを自己認識として抱いていたのかという点に着目する。具体的な題材として戦後日本および20世紀初頭以後のアメリカの主導的な教育行政研究者の著書・論文に焦点をあて、研究―社会間関係の認識の研究史を再構成する。 第3は、教育政策・行政分野における研究―実務アクター間のコミュニケーションに関する調査・分析である。具体的には、地方政治・教育行政アクターを対象として、エビデンス・EBPMといった概念、あるいは研究者と社会アクターとの関係、学知の役割についての認識に関するインタビュー調査を実施し、研究者と実務・政治アクターの事実認識・規範的認識の異同を明らかにする。その知見から研究・実務間の協働の課題と可能性を考察する。
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