研究課題/領域番号 |
23K17632
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
|
研究機関 | 尚絅大学 |
研究代表者 |
安村 由希子 尚絅大学, こども教育学部, 准教授 (60528363)
|
研究分担者 |
安村 明 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (60723468)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | fNIRS / かなdecoding / 頭頂葉 / 側頭葉 / 読みの発達過程 / decoding / 意味 / 読み障害 / トップダウン式指導法 |
研究開始時の研究の概要 |
読みには文字を音に変換する(decoding)と読解(comprehension)の2つの過程があり、幼児の読みの習得は意味も活用しながら進む。習熟した読み手は文字と音だけでなく、意味も記憶する特定の脳の領域にアクセスする。読みが困難な人は別の脳の領域を使用し、特にブローカー野を過剰に活性化する。日本では成人の失語症例が多く、小児の読みに関する脳機能研究は少ない。この研究では健常児の読みの習得過程と脳機能の変化を調査し、読み障害児の脳機能の特異性を明らかにする。また、意味を使った指導法を開発し、特定の脳領域を活性化させて読みの習得を促進する。研究では非侵襲性のfNIRSを使用する。
|
研究実績の概要 |
先行研究(Jasinska,2014;Wan,2016) を参考に、fNIRS を使って読字中の脳活動を測定する方法を検討した。刺激には、稲垣 (2021) を基に有意味語と無意味語をそれぞれ 10 個ずつ選んだ。有意味語と無意味語で、全体として特殊音節の数が同じになるように、単語を選定した。10単語を 1 セットにして、それを 5 回繰り返すようにした。単語は各試行でランダムに配置し、1 つの試行ごとに 10 個の単語を読ませるようにした。まず有意味語の試行から、次に無意味語の試行を5セット行うようにした。各単語の呈示時間は 2 秒で、単語と単語の間の休憩時間(ISI)は 1 秒とした(1 セットの試行は 30 秒)。被験者が読み終わったかどうかに関わらず、時間が来ると自動的に次の単語を表示するようにした。また、各試行の前後には、レストタイムを設けた(画面中央に十字マークを提示)。単語はモニターで提示され、被験者から約 30 センチ離れた場所に配置した。fNIRS は OEG-17APD-01-01-02、Type3x4W(スぺクトラテック社)を使用し、読字に関連するとされる左前頭葉、左頭頂葉、下後頭葉を中心に測定した。これらのプロトコルに沿って、4 人の成人を対象にパイロットスタディを行った。単語は 1 つずつ画面に提示され、被験者にはそれを声に出して読んでもらった。 その結果、左前頭葉と左頭頂葉の活性化が見られ、関 (2009) の先行研究を支持した。 左前頭葉にはブローカ野があり、音読に関連する領域であるため、発話に関わる部位が賦活したものと考えられる。 また、左頭頂葉は文字を音に変換する「decoding」部分に関連する領域があるため、今回の活性化は被験者が音読=decoding活動を行ったことを示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Jasinska(2014)やWan(2016)などの先行研究を参考に、これらの研究で示された方法や結果を活用することで、研究の方向性や方法論が明確になったため。 また、刺激の選定と実験プロトコルの構築し、成人を対象としたパイロットスタディがスタートしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は 15 人の成人を対象に実験を行い、fNIRS を使って読字中の脳活動を計測し、行動記録も取り、読みの正誤と脳活動の関係を調べる。 また、事前にレーベン色彩マトリックス検査を行い、認知能力を確認する。 また、定型発達児と読み書き障害児を対象に、読字中の脳活動を測定する予定である。
|