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いかに退屈から逃れるか:発達と神経生理メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 23K17635
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分10:心理学およびその関連分野
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

上原 泉  お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 教授 (80373059)

研究分担者 池谷 裕二  東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (10302613)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワード退屈 / ADHD傾向 / 発達
研究開始時の研究の概要

「退屈」の中毒的行動や危険行動、精神疾患との関連、退屈時の行動的特徴や脳活動(fMRI)が知られつつあるが、国内では「退屈」はほぼ追究されてこなかった。国内の「退屈」研究を立ち上げるため、上原は原作者の許可を得て「退屈尺度(日本語版)」を作成した。海外でも知見が僅少な、「退屈」の進化や発達過程、その環境や遺伝的要因、「退屈」が生じるメカニズムについて、池谷研での動物の実験結果、上原研での子どもの調査結果と、上原主導で新たに行う親子に関する共同研究の成果を踏まえ、新たな示唆を得る。

研究実績の概要

2つの調査を実施し一定の成果にまとめつつあるので、順にその経過と概要を報告する。
第一に、2研究室の共同で、300組超の小学校低学年の子どもの父母を対象にアンケート調査を実施し、子どもと親の退屈度合と他複数の特性の間の関連性について、生得性と養育環境の二つの側面から、探索的に検討した。国内では初の、親子の退屈に関する調査である。その結果、親子の退屈度合いと、ADHD傾向、親の養育態度の間に関連性がみられた。母親と父親の間で、子どもとの変数の関係性に少し異なる傾向もみられた。また、ADHD傾向については、父母の間でも有意な関連性がみられた。この成果について、学会発表を行った(張・上原・池谷, 2024)。
第二に、探索的ではあるが、低学年児童を対象に、退屈度合、集中度合、実行機能の間の関係性を上原研で検討した。探索的とはいえ、国内では初の、子どもの退屈度合と他認知との関連をみる調査である。年齢差との関連はみられず、実行機能の一部の課題指標において、退屈度合とは有意な負の相関、集中度合とは有意な正の相関がみられた。この成果について、学会発表を行った(趙・上原, 2024)。有意な関連性が一部の指標間でしかみられなかった点については、今後精査していく必要がある。
これらの調査遂行と併行して、退屈に関する総説論文を執筆した。退屈について、海外の知見を概観しながら、海外でも追究があまりなされていない、子どもの退屈や退屈の進化的起源を追究する必要性や、退屈と哲学、自己観や文化差、AIとの関連についての考察を論文にまとめて公表した(Uehara & Ikegaya, 2024)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2研究室の共同で行った、親への、親と子それぞれの退屈度合と他変数の関連性を調べる調査については、共同で質問紙調査を児童の親に依頼し、父母それぞれ300人以上から回答を集めることができ、その後、不備のないデータに対する分析を予定どおり順調に行うことができ、学会発表を3月末に行うまでに進められた。
上原研(大学院生と上原の共同)で低学年児童を対象に行った調査では、一人一人の子どもに対して課題を実施し、同行し同席した保護者に対して子どもの退屈などについて問う質問紙調査を実施した。子ども一人一人に対する調査にも関わらず、分析を行えるだけの人数の子どもたちに調査を実施することができた。集めたデータへの分析を予定通り進めることができ、学会発表を3月初旬に行うまでに進められた。
これらの調査実施に加え、今後の研究推進のため、退屈について、子どもにおける退屈、進化的起源、哲学、自己観、文化差、AIの視点から考察しまとめた論文が採択されるに至った。
以上より、「おおむね順調に進んでいる」と言える。

今後の研究の推進方策

2つの調査について、学会発表まで行えたので、これら2つを論文成果につなげるため、それぞれの調査について、必要に応じデータや分析の補足を行い、論文執筆作業を進める。2つの調査のうち、予備的に収集した自由回答部分や発話データ部分のデータ起こしや分類、コーディングと分析作業を、補足のデータ収集を行いながら進める。データ起こしの部分は可能であれば業者への依頼を検討するが、これ以外の部分の作業が順調に進まない場合は、研究協力者の補佐を受けて、データ追加や分類、コーディング、分析が順調に進むようにする。いずれかについて学会発表できるぐらいまでに結果をまとめる。
国内で、退屈研究を進展させるために必要な、日本語版の退屈傾向尺度の検証作業と、その日本語版の公表と論文化の作業を進める。
上記作業のいずれもが、順調に進むよう、各研究室、合同研究チーム内で随時、検討と確認を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] The meaning of boredom: Properly managing childhood boredom could lead to more fulfilling lives.2024

    • 著者名/発表者名
      Uehara, I., & Ikegaya, Y.
    • 雑誌名

      EMBO reports

      巻: in press 号: 6 ページ: 2515-2519

    • DOI

      10.1038/s44319-024-00155-0

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 日中の小学生における語彙力、実行機能と「退屈」の関連2024

    • 著者名/発表者名
      趙 思宇・上原 泉
    • 学会等名
      第19回日本発達心理学会第35回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 小学生の父母と子どもにおける退屈・ADHD度合いを含む諸要因の関係性の検討2024

    • 著者名/発表者名
      張 天依・上原 泉・池谷裕二
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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