研究課題/領域番号 |
23K17640
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 幸織 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (10645584)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 社会バイアス / 統合失調症 / 社会階級 / 認知機能 / 二重情報処理モデル / ドーパミン / 連合学習 / ベイズ推定 / 二重過程理論 |
研究開始時の研究の概要 |
日常の社会活動の多くには、系統的な偏り=社会バイアス、が見られる。このような社会バイアスは、ときに人種差別やいじめといった社会問題を引き起こすものであり、また精神疾患のメカニズム理解と治療法開発にも貢献できる可能性がある。しかし、それがどのような脳神経メカニズムによって生じるのかは、ほとんどわかっていない。本研究では、社会バイアスの脳神経メカニズムを解明することを目的とする。とりわけ、この目的達成のため、ベイズ推定に基づく脳神経モデルの観点から、社会バイアスに関連する脳領域やそれらの領域から構成される神経ネットワークの活動、ならびに、ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の役割を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、私達の日常の社会的活動の際に見られる系統的な偏り(=社会バイアス)の脳神経メカニズムならびに精神障害との関連を明らかにすることを目的としている。 初年度となる本年度は、以前、多重線形回帰を用いて明らかにした、社会グループ内の大多数に同調してしまう社会的同調ならびに見た目で人を判断するハロー効果に関連している心理プロセスをより詳細に解明するために、ベイズ回帰ならびに機械学習を持いたデータの再解析を行った。その結果、どの手法を用いても社会的同調には、不安やストレスといった負の情動、ハロー効果にはこころの理論が関わっていることが明らかになった。一方、ハロー効果とほぼ同様であるが、見た目で判断する対象が社会的な事象と関連しない場合は、こころの理論ではなく認知バイアスが関連していることが見出された。 また、社会バイアスと精神障害が関連している可能性を探るため、トルコ・ハジェテペ大学医学部の研究チームと統合失調症患者を対象とした共同研究を開始した。このプロジェクトでは、以前、自閉症スペクトラム障害児で行った社会的文脈依存と物理的特徴依存による社会階級の認識を調査する課題を用いた調査を推進している。我々の先行研究では、自閉症スペクトラム障害児では、社会的文脈による社会階級の認識を物理的特徴依存による社会階級の認識のプロセスで補償していることが見出されている。統合失調症患者の予備調査では、物理的特徴依存による社会階級の認識に障害がある傾向が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内における研究の推進については、補助を行う人員不足により、遅れが出ている。一方、本研究課題と関連するプロジェクトを新しく海外研究機関との共同研究として開始できたことから、総合評価としては、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、①国内において、健常成人を対象に研究を実施し、脳波計測と光トポグラフィー計測技術を用いて、社会的同調行動とハロー効果に関連する大脳皮質活動の記録と解析を行う。その計画に際し、技術補佐員を雇用し、研究推進の促進を図る。また、②平行して、海外研究機関との統合失調症患者を対象とした研究を継続して推進する。
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