研究課題/領域番号 |
23K17644
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺本 渉 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (30509089)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 実験心理学 / 加齢 / 身体表象 / 他者理解 |
研究開始時の研究の概要 |
身体表象が深く関わる原初的な他者行動理解システムの加齢変化を,特に高齢期の運動機能との関連性を念頭において,心理物理学的手法と生理心理学的手法を併用して明らかにする。その成果に基づき,高齢期の社会的機能の生物学的基盤に関する理解を得るのみならず,高齢者の社会的交流を促すうえで障害となっている「コミュニケーションの取りづらさ」に対して新たな観点から提言を行い,高齢期の健康寿命延長に貢献する。
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研究実績の概要 |
高齢期の認知機能低下への対策は,認知症とその予備群の増大,危険運転による事故多発などの社会問題を解決するためにも重要である。この認知機能低下には,感覚運動機能の低下と,それに伴う脳内の身体表象の歪みの関与が考えられる。身体表象は,自己身体知覚や運動制御だけでなく他者の行動や意図の理解にも用いられている。したがって,高齢期の運動機能低下に伴う身体表象の歪みは,他者の行動や意図理解にも影響を及ぼしている可能性が高い。本研究では,身体表象が深く関わる原初的な他者行動理解システム(【A】自動模倣,【B】触覚の視覚的再マッピング,【C】身体近傍空間の共有,【D】情動伝染)の加齢変化を,特に高齢期の運動機能との関連性を念頭において,心理物理学的手法と生理心理学的手法を併用して明らかにする。その成果に基づき,高齢期の社会的機能の生物学的基盤に関する革新的理解を得るのみならず,高齢者の社会的交流を促すうえで障害となっている「コミュニケーションの取りづらさ」に対して,身体表象の歪みの改善というこれまでにない観点から提言を行い,高齢期の健康寿命延長に貢献する。 本年度は非意識的・自動的な他者行動理解に関わる応答のうち,【A】運動処理段階での応答である自動模倣および【B】感覚処理段階での応答である触覚の視覚的再マッピングについて若年者を対象にして予備実験を行った。【B】については,我々の実験系で若年者で生起することが確認できたので,次年度は高齢者実験を進める。【A】については,現在の解析手法では現象自体を再現できていないので,解析手法をより解像度の高いものに変え,また刺激方法を見直すことによって,高齢者実験につなげることができると考えられる。 加えて,脳波計測装置を整え,神経機序を明らかにするための準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1-2年目は4つの課題(【A】自動模倣,【B】触覚の視覚的再マッピング,【C】身体近傍空間の共有,【D】情動伝染)のうち準備が整ったものから進めていくことにしており,【A】と【B】の実験にとりかかることができていることから,おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
4つの課題(【A】自動模倣,【B】触覚の視覚的再マッピング,【C】身体近傍空間の共有,【D】情動伝染)のうち,【B】については高齢者実験を進める。【A】については,まだ我々の実験系で現象自体を再現できていないため解析手法をより解像度の高いものに変え,また刺激方法を見直すことによって,高齢者実験につなげる。【C】および【D】に関しては今年度から開始し,課題を問わず顕著な結果が得られたものに関しては誘発電位計測を行う。
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