研究課題/領域番号 |
23K17652
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分11:代数学、幾何学およびその関連分野
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
下川 航也 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (60312633)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 結び目 / 渦 / トポロジー |
研究開始時の研究の概要 |
これまで流体力学や解析的方法で研究されていた流体の渦のトポロジーを、結び目理論を用いて研究する。渦のトポロジーの変化の様子を明らかにし、渦のトポロジーが流れ全体の性質に及ぼす影響を考察し、渦のもつ物理学的特性(循環やヘリシティ)と結び目のトポロジー不変量や幾何学的特性との関連を与える。また、乱流の渦のトポロジーの研究を行い、 乱流のトポロジー的な定義と特徴付けの研究を行う。これらの研究により、流体においてトポロジーの観点を用いた研究手法を提案する。
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研究実績の概要 |
この研究課題では、これまで流体力学や解析的方法で研究されていた流体の渦を結び目理論を用いて研究する。渦のトポロジーの変化の様子を明らかにし、渦のトポロジーが流れ全体の性質に及ぼす影響を考察し、渦のもつ物理学的特性(循環やヘリシティ)と結び目のトポロジー不変量や幾何学的特性との関連を与えるものである。そのために、渦の繋ぎ換え(reconnection)を結び目・絡み目のバンド手術をモデル化し、研究を行っている。これらの研究をもとに、乱流など渦の性質のトポロジーを用いた特徴付けを行う。 今年度の研究では、結び目・絡み目の交点数と指数(signature)との関連の研究を行った。これまでの研究で、交点数を用いた指数の不等式による評価を行い、指数の絶対値と交点数の差が1の場合の結び目・絡み目の特徴付けを行っている。今回の研究では、その差が2になる場合の特徴付けを行った。また、不等式を満たす指数と交点数の組に対し、実際に結び目・絡み目が存在することも示している。この成果を研究集会で講演し、プレプリントとしてまとめている。 この成果を、渦結び目・絡み目の繋ぎ換えの研究への応用を行う。反平行繋ぎ換えは結び目・絡み目の向きを保つバンド手術でモデル化されることを示しており、これまでDNAの組換えの研究で用いた成果を応用し研究を行っている。渦結び目・絡み目の場合には、DNAの場合と異なり、成分数に制限が付かないため、これまでの研究を拡張する必要がある。現在、その方針で研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は渦の繋ぎ換えのモデル化にあたる結び目・絡み目のバンド手術についての新たな結果を得ることが出来た。この成果は、量子渦などのシミュレーションに実際に現れる例に対応するため、その結果の応用が期待されている。そのため、現在の研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、これまで結び目と2成分絡み目の場合に得られたバンド手術の成果を、一般の成分絡み目の場合に拡張を行っている。これにより、現在シミュレーションを用いた研究で観測されている渦結び目・絡み目の繋ぎ換えの様子を十分説明するモデルが得られると期待される。今後の研究で、そのモデルにおいて、乱流が発生するメカニズムの解明に挑んでいきたいと思う。
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