研究課題/領域番号 |
23K17653
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分12:解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 客員研究員 (00131277)
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研究分担者 |
岩崎 悟 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (00845604)
降籏 大介 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (80242014)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 自由エネルギー / ナノ微粒子 / 構造保存数値解法 / 相分離 / 自己組織化 / Cahn-Hilliard 方程式 / サドル探索法 |
研究開始時の研究の概要 |
自己組織的に形成されるナノ微粒子ポリマーなどの3次元形態は空間3次元無限次元ポテンシャルの極小解(以下LM)として特徴付けられる.ポテンシャル形状は複雑な凸凹図形であり,形態探索は,勾配流を解くだけでは非効率的であり,かつ全体像は見えない.そのための新たな視点として最不安定解からポテンシャル風景を解読するという発想の転換を行う.そのために不安定解探索のための改良k-saddle法というアルゴリズムを開発する.次に実験環境(圧力,初期濃度)とモデルの関係を明確にするために勾配流の時定数比と実験結果を比較する.これにより経験則に依存する実験現場に貴重なガイドラインを与えることを目指す.
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研究実績の概要 |
ナノ微粒子ポリマーなど自己組織的に形成される3次元形態予測及びその制御をCoupled Cahn-Hilliard 方程式系(以下CCHモデル)を用いて実施した.このモデルは無限次元自由エネルギーの汎函数微分により得られるが,その形状は非常に多数の極小解(Local Minimum,以下LM)を有する凸凹図形であり,その形態探索は自明でない.本年度は次の3点について研究を実施した. (1)高次サドル解の探索アルゴリズム:多様な LMを求めるのに,絨毯爆撃的に求めるのは効率も悪く,またポテンシャル形状の情報もほとんど得られない.代わりに不安定度の高いサドル解を見つけ,そこから下流を見ることで,より低い不安定度のサドル解,そしてLMの探索が可能となる.本年度はまず非局所項がないCCHモデルを採用し,1次元の場合に,複数のサドル候補を見つけた.これらを手がかりに k-saddle法による数値探索さらにポテンシャルの大域像を得るめどがつけられた. (2)構造保存型数値アルゴリズムの開発:(1)で述べた非局所項がない CCHモデルに対してエネルギーの単調減少性を保証するアルゴリズムを開発した.これにより正確にポテンシャル内での軌道の挙動を記述することが可能となった. (3)実験環境と時定数比の関係:自由エネルギーのパラメータには具体的な実験環境(圧力,初期濃度等)のデータは含まれていないが,実験結果はそれらに大きく依存する.本提案では実験設定に深く関わると考えられるパラメータ「時定数比」(2つの未知関数の時間微分の前の定数比)に着目し,非局所項がないCCHモデルに対して,それがどのようにダイナミクスに影響を与えるか考察した.結果として(1)で述べたサドル解を仲介して,時定数比によりダイナミクスが切り替わり,最終的に得られる LMの推移とその分類が可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった,高次サドル解の発見,解の単調性を保証する構造保存型数値アルゴリズムの開発,そして時定数比と実験環境の対応について,第一段階として非局所項がないCoupled Cahn-Hilliard 方程式系について,1次元の場合に一定の成果を得ることができた.さらに高次サドル解の探索(k-saddle法)については,高次元も含め,このモデル方程式に適用するための準備が整えられた.
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今後の研究の推進方策 |
(1)自動微分の活用:一般にサドル探索では,漏れなく重要なサドルを見つけることは至難の技である.その効率化を図るため,いくつかの手法があるが,自動微分はその一つである.これによりサドル探索の加速化を進める.より簡単な 1次元Allen-Cahn 方程式においては,その有効性は確認済みである. (2)構造保存型数値アルゴリズムの開発:非局所項を含めた方程式系に対して,エネルギーの単調減少性を保証するアルゴリズムを開発する.これにより信頼性の高い計算が可能となり,とりわけ自由エネルギーの形状探索,とくに高次サドル解からの軌道追跡を記述する上で大きな役割を果たすと期待される. (3)時定数問題:微粒子形状を記述する変数とその中でのミクロ相分離を記述する変数の間の時定数比を網羅的に探索する.既に非局所項がない場合については,一定の成果が出ているが,それを精緻化すると同時に非局所項を組み込んだ場合を考察する.また親水性,疎水性など溶媒との関係を記述するパラメータを動かし,時定数比との関係を調べる. (4)高次元問題:(1)ー(3)の研究進捗に応じて,2次元以上の場合について議論を可能な限り拡張することを試みる.
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