研究課題/領域番号 |
23K17655
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分12:解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
降籏 大介 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (80242014)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 非線形差分 / 対数型差分作用素 / 混入誤差耐性 / 構造保存数値解法 / 差分法 / 数値解析 / 微分方程式 / 強非線形性 / 対数差分 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,対数型差分作用素等の新しい差分作用素が,強い非線形関数での数値誤差が本質的に小さいこと,移流問題等に対し数値安定性を持つこと,積型混入誤差に強い耐性を持つことなどの数学的理論解析と応用可能性の模索を行うものである. 既存の差分には,中心差分が中心点を参照しない,強非線形関数に対し誤差が過大,二重指数関数型数値積分公式(DE公式)等に比べて理論発展が弱い等の問題がある. とくにこのDE公式の解析理論はその双対的概念としての差分公式およびその解析理論の存在を強く示唆するものであるため,これを手がかりに非線形差分公式の理論解析を進めるものである.
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研究実績の概要 |
2023年度では申請書記載の研究計画の主にステップ1からステップ2にかけての過程を基に各分野の専門家との協働も含めてその研究を推進した. まず,計画ステップ1「非線形対数型差分作用素の理論的解析模索」テーマのサブテーマに沿って以下のように研究を推進した.サブテーマ「数値積分 DE 公式の双対概念として Hardy 空間における理論誤差解析」について(現時点でわれわれは誤差が空間離散化幅 Δx に対して一次オーダー O(Δx) であろうと推測している),DE 公式研究の専門家と協業,研究を推進しつつある.非線形性の強さが数学技術的に障害となり解析は容易ではないが,局所的な線形化解析等を検討している.2つ目のサブテーマ「同 Hardy 空間における数値安定性解析」については数値実験により特徴推測やその結果に基づく高精度化の研究が可能なことに着目し,数値実験計画をたてている.そしてもう一つのサブテーマ「混入誤差耐性の解析」はその数学的性質から自然なことから大きな困難はなく研究が進展している.われわれとしてはより積型誤差が混入する状況よりも緩い状況下での誤差耐性について調査を進めるべきと考えている. 計画のステップ2は「非線形対数型差分作用素の数値誤差・数値安定性,混入誤差耐性に対する網羅的な実証実験」であるが,その網羅性を支える数学的背景について議論をすすめ,必要な準備をすすめている.ステップ1における予備的な数値実験が参考になることから,ステップ1の成果が必要な段階に達した時点で一定の規模で実験を行う計画をたてつつある.そしてこれらの結果をもとに理論的解析結果と比較することで.現時点予測の数値誤差の収束性が確認できると期待している.なおこの際に,おそらく多倍長演算などを用いた実証が必要であろうと推測しており,そうした計算環境の整備を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べたように,本研究の対象たる非線形の対数型差分作用素について,2023年度では申請書の研究方法に記載した研究計画に記した主にステップ1からステップ2にかけて想定していた過程計画を基に各分野の専門家との協働も含めてその研究を推進しており,研究の進捗状況としては順調であると考える. より具体的には,2023年度は計画のステップ1「非線形対数型差分作用素の理論的解析模索」で設定したサブテーマに沿って以下のように研究を推進・展開している. サブテーマ:数値積分 DE 公式の双対概念として Hardy 空間における理論誤差解析については,現時点での推測「一般の中心パラメータに対し誤差は空間離散化幅 Δx に対して一次オーダー O(Δx) 」はほぼ正しいと考えており,さらにその理論的証明等について Hardy 空間を用いる DE 数値積分公式の専門家と協業を推進しつつある.非線形性のため解析は容易ではないが局所的な線形化とその解析に基づく手法等の検討を行っている.同様のサブテーマである Hardy 空間における数値安定性解析についても数値実験による研究を推進する過程を計画している.そしてもう一つのサブテーマの混入誤差耐性の解析については比較的明瞭にその性質を示せており研究が進展している.われわれとしてはより積型誤差が混入する状況よりも緩い状況下での誤差耐性についてさらに調査を進めるべきと考えている. 計画のステップ2「非線形対数型差分作用素の数値誤差・数値安定性,混入誤差耐性に対する網羅的な実証実験」においてもステップ1の知見を基に一定の規模での網羅的実験を行う計画をたてつつある.そしてこれらの結果をもとに理論的解析結果と比較することで.現時点予測の数値誤差の収束性が確認できると期待しており,計画としてはやはりこのステップにおいても順調と考える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,研究計画の本質部分であるステップ1(このステップについては計画期間全体にわたり行うべきと考えている)について研究を行いつつ,ステップ2,ステップ3へと研究を展開していくべきと考えている.進捗状況の欄で述べたように,本研究の対象たる非線形の対数型差分作用素について,2023年度では申請書の研究方法に記載した研究計画に記した主にステップ1からステップ2にかけて想定していた過程計画を基に各分野の専門家との協働も含めてその研究を推進している. 具体的には,計画のステップ1のサブテーマ:数値積分 DE 公式の双対概念として Hardy 空間における理論誤差解析については,現時点での推測(誤差は空間離散化幅 Δx に対して一次オーダー)の理論的証明等について Hardy 空間を用いる DE 数値積分公式の専門家と協業を積極的に推進していく.同様のサブテーマである数値安定性解析については数値実験による研究推進を実行したい.そしてもう一つのサブテーマの混入誤差耐性解析については比較的明瞭な成果を得ており,さらに一般的な状況下での誤差耐性についてさらに調査を進める. 計画のステップ2「非線形対数型差分作用素の数値誤差・数値安定性,混入誤差耐性に対する網羅的な実証実験」においてもステップ1の知見を基に一定の規模での網羅的実験を行う計画をたてつつあり,これをやはり実行に移すべきである.そしてこれらの結果をもとに理論的解析結果と比較することで.現時点予測の数値誤差の収束性が確認できると期待している. さらにステップ3のテーマ「離散変分を非線形差分作用素を用いて構成し,構造保存数値解法構成を模索する」についてはなんらかの新しいアイディアを必要とするまさに挑戦的な課題であるため,常時これを試み,模索していくことで実現への道を拓くことを試みるべきである.
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