• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

フェロアキシャル秩序が創発する特異交差応答

研究課題

研究課題/領域番号 23K17659
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分13:物性物理学およびその関連分野
研究機関東北大学

研究代表者

古川 哲也  東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10756373)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
キーワードフェロアキシャル / 強軸性 / 交差応答 / アシンメトリー / 多極子
研究開始時の研究の概要

本研究ではフェロアキシャル秩序と呼ばれる、結晶構造の回転方向対称性が破れ、「ナノ・ラチェット構造」が創発される双極子型秩序に特有の交差応答を突き止め、実験的に実証することを目指す。フェロアキシャル秩序・転移を有する物質について、その電気的、熱的輸送特性を実験的に調べることで特異交差応答を明らかにする。

研究実績の概要

本研究ではフェロアキシャル秩序と呼ばれる、結晶中において結晶主軸に対する回転方向対称性が破れ、「ナノ・ラチェット構造」が創発される秩序が生む特異交差応答を実験的に探求することを目的としている。研究開始当初の具体的目標としては、磁場や磁化の存在がなくても生じる特異な横熱電効果の観測を目指した。最初の目標として、実際に巨大フェロアキシャル転移を示す、電荷密度波スピン液体物質 1T-TaS2を対象に特異熱電応答の探求を行うことを計画していたため、実際に熱電測定を試みた。しかし十分大きな信号を検出することができておらず、現時点では特異熱電効果の実証にはまだ至っていない。またこの研究の過程で、実験に必要な低温試料環境を用意するため、所有しているクライオスタットの冷凍機のオーバーホールを行った。
特異熱電効果の測定と並行してフェロアキシャル秩序系の交差応答についての考察・情報収集を行ったところ、電気伝導でもフェロアキシャル系特有の交差応答が現れる可能性がわかった。具体的には非従来型のプラナーホール効果が現れる可能性がわかった。この効果を実証するべく、フェロアキシャルな有機導体を用いて非従来型プラナーホール効果の測定を行ったところ、その兆候を示す実験結果を得ることに成功した。この効果の存在が確立すればフェロアキシャル伝導体における交差応答の初発見となり、フェロアキシャル系の物理に大きな展開をもたらすことになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初目指していた特異交差熱電応答の実証には現時点では成功していないが、一方で新しい研究目標として特異な交差電気伝導現象を実証しようとしたところ肯定的な成果を得つつあるため。

今後の研究の推進方策

本研究の研究開始当初の具体的目標としては、磁場や磁化の存在がなくても生じる特異な横熱電効果の観測を挙げていたが、その後の考察を経て、新たにフェロアキシャル系での特異な交差電気伝導現象の探求という研究の軸が加わった。これを踏まえ以下のように研究を遂行する予定である。
(1)特異横熱電効果の探求:これまでの研究に引き続き、巨大フェロアキシャル転移を示す電荷密度波(CDW)スピン液体物質 1T-TaS2を対象に特異熱電応答の探求を行う。交流熱起電力測定法だけでなく直流熱起電力測定法も試し、より実験精度を上げることで効果の観測を目指す。また磁場を印加することで非従来的なプラナーネルンスト効果の探求も目指す。
(2)特異交差電気伝導現象の探求:アキシャルな対称性をもつ有機導体において非従来型プラナーホール効果の兆候が観測されたため、より詳細な検証を行っていく。具体的には、磁場印加方向や強磁場下での磁場に対する非線形特性などを調べることで効果の特性を明らかにする。また非アキシャルな系でこの非従来型プラナーホール効果が生じないことも検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Microscopic evidence for preformed Cooper pairs in pressure-tuned organic superconductors near the Mott transition2023

    • 著者名/発表者名
      Furukawa Tetsuya、Miyagawa Kazuya、Matsumoto Mitsunori、Sasaki Takahiko、Kanoda Kazushi
    • 雑誌名

      Physical Review Research

      巻: 5 号: 2 ページ: 023615-023615

    • DOI

      10.1103/physrevresearch.5.023165

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Thermal Transport of a Layered Organic Mott Insulator κ-(ET)2Cu[N(CN)2]Cl2023

    • 著者名/発表者名
      Furukawa Tetsuya、Taniguchi Hiromi、Sasaki Takahiko
    • 雑誌名

      JPS Conference Proceedings

      巻: 38 ページ: 011143-011143

    • DOI

      10.7566/jpscp.38.011143

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 有機磁性体・有機ディラック電子系における熱伝導・熱電物性2024

    • 著者名/発表者名
      古川哲也
    • 学会等名
      ISSPワークショップ 「デバイス活用で臨む有機伝導体の未来」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 常圧有機ディラック電子系α-(BETS)2I3における熱電効果と熱伝導2024

    • 著者名/発表者名
      古川哲也, 西川哲也, 井口敏, 加藤拓洋, 小林拓矢, 谷口弘三, 佐々木孝彦
    • 学会等名
      日本物理学会 2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 直方晶κ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Clの赤外磁気光学カー効果2024

    • 著者名/発表者名
      井口敏, 小林広樹, 池本夕佳, 古川哲也, 伊藤弘毅, 岩井伸一郎, 森脇太郎, 佐々木孝彦
    • 学会等名
      日本物理学会 2024年春季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ダイマーモット絶縁体β'-(BEDT-TTF)2ICl2の熱伝導2023

    • 著者名/発表者名
      西川哲也, 古川哲也, 谷口弘三, 佐々木孝彦
    • 学会等名
      日本物理学会 第78回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi