研究課題/領域番号 |
23K17668
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田仲 由喜夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40212039)
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研究分担者 |
加藤 晃太郎 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (40895819)
星野 晋太郎 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (90748394)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 電子対対称性 / 奇周波数ペア / パラフェルミオン / 分数量子ホール系 / 超伝導 / エニオン / エッジ状態 / 量子情報 / 接合系 |
研究開始時の研究の概要 |
研究ではパラフェルミオンを準粒子として持つ物理系の基礎物性を理論的に研究し、パラフェルミオンを実験的に実現しうる物理系、及びパラフェルミオンの具体的な検出方法の新たな理論提案を行う。パラフェルミオンの検証・提案に関しては、量子細線などで提案されているパラフェルミオンを生みだす設定が現実的であるかどうかを、繰り込み群方程式や数値解析を駆使して検証する。パラフェルミオンの検出法に関しては、様々な観測量の特徴を多角的に調べることにより、実験的検証法を確立することを目指す。パラフェルミオンを金属から成る端子と接合させ、電気伝導度や熱伝導度に加えて、揺らぎにどのような特徴が現れるかを検証する。
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研究実績の概要 |
パラフェルミオンの基本となるのが生成と消滅の場が対等になるマヨラナ準粒子である。田仲は、マヨラナ準粒子が誘起される1次元p波超伝導のモデルにおいて準古典グリーン関数の計算を行った。これまで半無限の解を求めることに成功していたが、有限の長さでの計算は存在していなかった。有限の長さに適用可能な解析的な解を導出して、両端のマヨラナ準粒子間の長距離の相関が現れることを確認した。またマヨラナ準粒子に関する総説記事を執筆した。マヨラナ準粒子と奇周波数ペアは、不均一超伝導では不可分の関係にある。星野と協力してバルクに奇周波数ペアの存在する系のグリーン関数を導出した。 星野はパラフェルミオン系を創出するにあたり、まず、最もシンプルなZ4パラフェルミオンについて検討した。Z4パラフェルミオンは、多体相互作用を持つ1次元電子系の特殊な場合として現れることが知られている[Calzona et al., Phys. Rev. B 98, 201110 (2018)]。しかし、この特異な多体相互作用は通常のクーロン相互作用だけでは作り出すことはできない。これを実際に実現する方法として、相互作用とトンネル効果の協力効果を用いる方法を着想し、理論的に検討した。 加藤は、トポロジカル秩序相を含む2次元非臨界系(バルク系)の1次元端状態の解析を行った。こうした端状態は、バルク系におけるエニオンの存在により非自明な対称性を持つことが知られている.テンソルネットワークの手法を用いることで、そうした非自明な対称性を持つ端状態の分類理論の構築を試みた.また端状態を記述する1次元テンソルネットワークの空間的繰り込みについて解析を行った.量子情報理論に基づいて一般の混合状態の可逆な繰り込み(情報理論における情報圧縮に相当する)が可能である必要十分条件の導出に新たに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マヨラナ準粒子についての知見を増やすことはできた。マヨラナ準粒子が現れる際にトポロジカル秩序を伴う場合とそうでない場合についての違いの認識ができた。パラフェルミオンの研究については情報収集モデルの検討が行われた。またトポロジカル秩序相を含む2次元非臨界系(バルク系)の1次元端状態の解析を行うことができた。代表者、分担者のやるべき研究は達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
Z4パラフェルミオンをつくりだす多体相互作用を、より具体的にトンネル効果のあるハミルトニアンから調べる。1体の場合には1粒子グリーン関数の自己エネルギーに有効的なトンネル効果が表れるが、多体の場合には、多粒子グリーン関数のバーテックスを議論する必要がある。これを具体的な系に基づいて調べ、有効相互作用を制御する方法を検討する。パラフェルミオンのZ4格子モデルについて研究する。田仲、星野で検討を行う。 加藤は端状態の繰り込み可能条件がバルク系のエニオンに由来する対称性と数学的に結びついている証拠を得ており,その厳密な証明に取り組む。本年は、相互の議論を活性化して、名古屋大学での議論またZoomによる議論を積極的に行う。
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