研究課題
挑戦的研究(萌芽)
アト秒に到達した極短パルスレーザー技術により,光電子放出過程における電子分極,電子散乱や電子波束形成など超高速量子現象が実験的に追跡できるようになってきた。しかし,アト秒の極短パルス性は,必然的に広いスペクトル幅を持つことを意味しており,電子バンド構造まで分解しながらアト秒スケールの光電子ダイナミクスを追跡することは不可能だとされてきた。本研究の挑戦は,極短パルスを利用する従来の発想に捉われない時間領域への新たなアプローチによって,この常識を打ち破ることである。これを実現する時間領域へアプローチする新たな手法として「位相分解光電子分光」を完成させる。
アト秒に到達した極短パルスレーザー技術により,光電子放出過程における電子分極,電子散乱や電子波束形成など超高速量子現象が実験的に追跡できるようになってきた。しかし,アト秒の極短パルス性は,必然的に広いスペクトル幅を持つことを意味しており,電子バンド構造まで分解しながらアト秒スケールの光電子ダイナミクスを追跡することは不可能だとされてきた。本研究の挑戦は,極短パルスを利用する従来の発想に捉われない時間領域への新たなアプローチによって,この常識を打ち破ることである。これを実現する時間領域へアプローチする新たな手法として「位相分解光電子分光」を完成させる。この目的達成のために本年度では,広島大学放射光科学研究所で開発された紫外光 6-eV レーザー・スピン角度分解光電子分光 (Spin-ARPES) の装置改良およびこの装置を利用した位相分解光電子分光測定を行った。具体的には,① 本測定で利用する光学系の構築するため大型の光学テーブルを購入し導入した。②そのため,精密に空調管理されたレーザーブースの拡大を行い,本測定の環境を整備した。③位相分解光電子分光で必要な偏光制御からスピン分解測定まで膨大なデータ点を得るために,自動制御ソフトウェアを整備した。これら環境整備の結果,Bi2Te3 および Bi2Se3 などトポロジカル絶縁体のスピン偏極表面状態において位相分解光電子分光を実施できるようになった。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り,光学テーブルの導入を行って環境を整備した結果,幾つかの物質で位相分解光電子分光の実施まで行えるようになった。
本年度,大型の光学テーブルの導入など測定環境を整備した結果,幾つかの物質で位相分解光電子分光を実施できるようになった。次年度では,Bi2Te3 および Bi2Se3 におけるスピン偏極表面状態に注目して,放出されたスピン偏極光電子の偏光依存性を詳細調べ,光電子位相を精密に決定する。この位相の波数依存性から,光電子放出過程の散乱ダイナミクスの時間スケールの獲得を狙う。
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Scientific Reports
巻: 14 号: 1 ページ: 127-127
10.1038/s41598-023-47719-z