研究課題/領域番号 |
23K17703
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋口 浩之 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (90293943)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | MIMO / フェーズドアレイ / 大気レーダー / 多チャンネル受信 |
研究開始時の研究の概要 |
新しいレーダー技術であるMIMOレーダーの大気・気象観測への適用に関するフィージビリティについて研究する。フェーズドアレイ気象レーダーは時間分解能30秒で100仰角以上の観測が可能であり、極端気象のメカニズムを正確に理解し、その兆候を一早く捉え、減災を目指す上で強力な測器である。しかし、多数のアンテナ素子が必要なため、コスト面での課題が大きく、実用化への妨げとなっている。MIMO技術により、素子数を大幅に少なくし、レーダー観測に必要な角度分解能を維持しながらコスト削減が可能となる。本課題ではLQ-7大気レーダー等を用いてMIMO技術のハードウェア実装上の課題を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本課題では、新しいレーダー技術であるMIMO (Multiple-Input Multiple-Output)レーダーの大気・気象観測への適用に関するフィージビリティについて研究する。MIMOレーダーは、アレイアンテナを用いて、直交性のある信号を異なる送信アンテナから同時送信し、受信信号処理により仮想的に開口面積を拡大する技術である。比較的小さな物理開口アンテナで、ビーム幅を狭くし、空間分解能を向上可能である。VHF帯MUレーダーやL帯LQ-7大気レーダー等を用いてMIMO技術のハードウェア実装上の課題を明らかにすることを目的とする。 MIMOは通信の分野でよく研究され、時間分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)、符号分割多重アクセス(CDMA)、ドップラー分割多重アクセス(DDMA)など多くの方式が考案されている。大気レーダーに適した方式を検討し、まずDDMA方式をMUレーダーおよびLQ-7に適用して、MIMOレーダー技術の実現可能性を検討した。すなわち、複数の信号発生器(SG)を用いてローカル信号周波数を僅かに変えることで、送信波の直交性を実現した。具体的には、例えばMUレーダーの場合、観測室からA~Fの各ブースに送られる41.5MHzローカル信号を、MUレーダーの基準信号にロックしたSG信号に置き換え、A~F群の6種類の送信信号を実現した。またLQ-7システムでは1チャンネルしか受信機を有しないため、ソフトウェア無線機を用いて、多チャンネル受信システムを構築した。いずれも、DDMA-MIMOにより送信波を分離でき、晴天大気乱流や降水粒子からのエコーが受信可能であるとの見通しを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、MUレーダーやLQ-7を用いた実験を行い、初期的な結果を得ることができたため、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、2年度目もMUレーダーやLQ-7による実験を継続し、MIMO技術のハードウェア実装上の課題を明らかにする。具体的には、例えば、空間分解能向上の検証のため、MUレーダーにDDMA-MIMOあるいはCDMA-MIMOを適用し、月面反射エコーの観測実験を行う。
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