研究課題/領域番号 |
23K17705
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井尻 暁 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (70374212)
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研究分担者 |
石橋 純一郎 神戸大学, 海洋底探査センター, 教授 (20212920)
坂井 三郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 主任研究員 (90359175)
松井 洋平 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), 准研究副主任 (90756199)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 噴気ガス / 炭化水素ガス / 炭素同位体比 / 地熱探査 / 凝集同位体 / メタン / 二酸化炭素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、信頼性の高い地熱探査手法を開発し、地熱発電の導入拡大に貢献することである。この目的を達成するために、マグマ由来揮発成分であるメタン(CH4)、二酸化炭素(CO2)について、凝集同位体分 子 (一つの分子中に重い同位体を2つ以上含む分子:13CH3D、13C18O16O)温度指標を用いて 地熱系深部の熱構造を把握する新しい地熱探査手法を確立することを目指す。このために高温流体の試料採取法、前処理法を確立し、日本国内の様々な地熱域の高温流体のCH4・CO2 の凝集同位体データを蓄積し、系統的な解析を行うことにより、地化学温度計としての実用性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では八丁原地熱発電所の地熱井および発電所周囲の噴気ガスを採取・分析することで八丁原地熱地帯の地熱ガスの起源・挙動を推定することを目的とする。 八丁原地熱発電所およびその周辺の噴気ガスを採取し、噴気ガス中の二酸化炭素の炭素安定同位体比(δ13C-CO2)と濃度,炭化水素ガス(メタン,エタン, プロパン)の炭素安定同位体比(δ13C-CH4, -C2H6, -C3H8)と濃度を測定した。 八丁原地熱井のメタンの炭素同位体比(δ13C-CH4)は-29 ~ -26‰ (平均 -28‰,n=4),メタン/エタン濃度比(C1/C2)は56 ~ 479 (平均 235,n=4)であった。周辺の試料のδ13C-CH4は-30 ~ -23‰ (平均 -25‰,n=20)、C1/C2は53 ~ 1256 (平均 374,n=20)であった。これらの試料は一般的な熱分解起源に対してδ13C-CH4、C1/C2が大きい値をとった。このようにδ13C-CH4、C1/C2が一般的な熱分解起源メタンに比べて大きいメタンの起源として、1)熟成の進んだ有機物の熱分解により生成した熱分解起源メタンと、2)熱分解起源メタンと非生物起源メタンの混合の二つの可能性が考えられる。 上記の2つの可能性についてδ13C-CH4, -C2H6, -C3H8を用いて考察した。各炭化水素ガスの炭素同位体比の平均値を比較すると、各炭化水素ガスの炭素同位体比の平均はδ13C-CH4= -26‰(n=34),δ13C-C2H6 = -23‰(n=22),δ13C-C3H8 = -21‰(n=5)となり、炭素数が小さいほどδ13Cの平均値が小さくなっていた。これは熱分解起源炭化水素ガスの特徴であり。八丁原地熱井およびその周辺の試料は非生物起源ではなく、熱分解起源である可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メタンの生成温度の指標となるメタン凝集同位体を測定する予定であったが、噴気ガス中のメタン濃度が低く必要な量を採取することができなかった。二酸化炭素の凝集同位体比を測定する予定であったが、分析に用いるレーザーが故障したために測定できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に分析を行った噴気ガスの中で最もメタン濃度が高かった地点にて、大型のテドラーバッグなどを用いて、噴気ガスの大量採集を行い、メタン凝集同位体測定に必要な量のガス試料の採取を試みる。
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