研究課題/領域番号 |
23K17708
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
大野 剛 学習院大学, 理学部, 教授 (40452007)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 水銀 / 同位体分別 / 表層環境 / オゾン層 / 波長 / 紫外線 |
研究開始時の研究の概要 |
オゾン層は生物に有害な紫外線を吸収するため、地球表層生物の進化に重要な役割を果たしてきた。オゾン層は酸素発生型光合成生物がもたらす酸素分子の増加に伴い形成されたと考えられているが、その形成時期に関する物的証拠は乏しい。我々の予察的実験により、オゾン層で吸収される254 nmの紫外線と水銀の光化学反応により、202Hg・204Hgの非質量依存同位体分別: Δ202Hg異常・Δ204Hg異常が起こることが示された。本研究では、堆積年代がわかっている黒色頁岩や炭酸塩岩などのΔ202Hg異常・Δ204Hg異常を調べることにより、オゾン層形成時期を制約する新たな研究手法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
オゾン層は生物に有害な紫外線を吸収するため、地球表層生物の進化に重要な役割を果たしてきた。オゾン層は酸素発生型光合成生物がもたらす酸素分子の増加に伴い形成されたと考えられているが、その形成時期に関する物的証拠は陸上生物の化石などに頼るところが大きい。我々の予察的な実験により、オゾン層で吸収される254 nmの紫外線と水銀の光化学反応により204Hgの非質量依存同位体分別: Δ204Hg 異常が起こることが示された。Δ204Hg 異常は地球表層環境まで到達するUV-A (波長315-400 nm)では観察されないため、オゾン層の形成を読み解く上で、Δ204Hg 異常を用いた新たな指標は有用だと考えられる。本研究では、水銀の紫外線波長依存の同位体分別からオゾン層の形成と成長を調べるための新たな研究手法の開発を目指している。今年度は、Δ204Hgが波長に依存して変動するかを調べるため、光還元反応における水銀同位体分別の波長依存性を調べた。具体的には、これまでの予察的な実験で用いてきた水銀UVランプに加え、キセノン光源を用いて250 nm-300 nm程度の領域での光酸化還元反応における水銀同位体異常の波長依存性を調べた。その結果、254 nmの水銀光源を用いた場合にΔ204Hgが大きくなることが明らかになった。一方でこれまでの実験結果ではキセノン光源を用いるとΔ204Hgの変動はほとんど検出されなかった。今後は異なる光源および波長が水銀同位体分別に与える影響について調べていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水銀同位体分別の波長依存性に関する研究が予定通り進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、Δ204Hgが波長に依存して変動するかを調べるため、光還元反応における水銀同位体分別実験を行なった。254 nmの水銀光源を用いた場合にΔ204Hgが大きくなることが明らかになった。一方で、キセノン光源を用いるとΔ204Hgの変動はほとんど検出されなかった。そこで今後の研究では、異なる光源および波長が水銀同位体分別に与える影響を調べ、水銀の同位体分別を用いてオゾン層の形成を推定するための研究手法開発を目指す。
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