研究課題/領域番号 |
23K17714
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分18:材料力学、生産工学、設計工学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
燈明 泰成 東北大学, 工学研究科, 教授 (50374955)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 超音波映像法 / 音響画像 / 共鳴周波数画像 / 最大/最小振幅スペクトル比画像 / 接着層 / 潤滑膜 / 品質 / 厚さ / 音響共鳴画像 |
研究開始時の研究の概要 |
音波が薄層を通過する際、薄層界面における音圧反射率と音圧透過率は周波数の関数となり、両者は薄層の厚さが音波の1/4波長と一致する共鳴周波数において極値を取る。研究代表者らはこの音響共鳴に関する理論モデルを構築して薄膜の音響物性値と厚さの分布を音響共鳴画像として可視化する手法を提案している。本研究では新たに不完全密着界面における音響共鳴の理論モデルを構築して実施が困難な薄層(接着層・潤滑膜)の検査に挑戦する。
|
研究実績の概要 |
1. ハイブリット超音波映像システムの試作 超音波映像装置により音響画像(時間領域)を取得し、これと共にVTK(visualization toolkit)形式で保存されている各点での波形を外部記憶媒体に収録、波形を周波数解析して振幅スペクトルを得るプログラムをPythonにて作成した。各点での振幅スペクトルと参照波形のそれより振幅スペクトル比を得て、共鳴周波数と最大/最小振幅スペクトル比を算出した。算出した各点で共鳴周波数と最大/最小振幅スペクトル比を2次元表示(周波数領域)するハイブリット超音波映像システムを構築した。Si基板上に成膜したフォトレジスト膜に対して取得した周波数領域画像より膜の密度と硬さに相関する音速を計測し、成膜条件による品質の相違を定量化することで同システムの有用性を確認した。 2. 不完全密着界面における音響共鳴の観察 2枚のAl板を2液混合反応型エポキシ系接着剤で接着した接着層サンプルを対象に音響画像を取得し、接着面積を算出した。共鳴周波数画像より接着層の厚さ分布を、最小振幅スペクトル比画像より接着層の密度分布を得た。これらより算出した接着層の密度が電子天秤により実測したそれと一致することを確認し、ハイブリット超音波映像法による接着層評価の妥当性を検証した。また非接着部近傍の時間・周波数領域データと接着部のそれらとを比較することで、界面の密着性が音響共鳴に与える影響を調査した。 3. 界面の密着性を考慮した音響共鳴の理論モデル構築 不完全密着界面における音響共鳴の観察結果を踏まえて、界面密着性を評価するための理論モデルについて検討した。音響画像より不完全密着界面を特定し、この領域の近傍における振幅スペクトル比が完全接着界面を仮定して算出したそれと異なることを利用して界面の密着性が定量化できる可能性を見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載のとおり、申請時に計画した研究を遂行し、ハイブリット超音波映像システムを試作してその有用性を確認した。また接着層サンプルを対象として時間領域画像と周波数領域画像を取得して当該システムによる評価の妥当性を検証すると共に、非接着部近傍のデータを得て、これを解析することで界面の密着性を定量評価するための知見を得るなど、進展は順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
構築したハイブリット超音波映像システムを駆使してパワー半導体と基板とのダイアッタチ接着層を対象とした検査を実施し、接着層内の欠陥と接着層の厚みを可視化する。またアルミ板と樹脂材料との異種材料接着層を対象とし、接着層の密着性を評価すると共にシングルラップシェア試験を実施し、密着性と強度との相関を調査することに挑戦する。
|