研究課題/領域番号 |
23K17720
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分18:材料力学、生産工学、設計工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶋田 隆広 京都大学, 工学研究科, 教授 (20534259)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | メタマテリアル / 複合物理特性 / ナノ強誘電体 / Phase-Field法 / 第一原理計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ナノ構造化・複合材料化されたメタマテリアル中に発現する微視的な強誘電分極秩序とその位相幾何学的特徴を解明することを目的とする。まず、同メタマテリアル内部の微視的構造と異材複合による強誘電分極への影響を評価するための数値解析技術と計算システムを開発・構築する。これらを用いて主課題であるナノ構造・複合メタマテリアル中のトポロジカル強誘電性の特性を解明する。さらに、外場負荷解析を実施し、負荷ひずみ等の外場と強誘電分極の位相幾何学性との連動効果(複合物理特性)を評価・解明する。得られた知見を統合し、ナノ構造・複合メタマテリアルのトポロジカル強誘電性と機能の力学設計指針について検討する。
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研究実績の概要 |
[1]本年度はまず、ナノ構造化・複合化されたメタマテリアル中の強誘電分極の数値解析技術と計算システムの構築を行った。代表者が開発したFourier Spectral法をベースとし、形状や異材の影響を陽に取り入れたPhase-Field解析技術とプログラムを整備し、この解析技術をナノ構造・複合メタマテリアルの解析用に拡張・改造した。さらに、頻繁に行われる高速フーリエ変換を効率的に並列処理する数値計算システムを構築し、大規模モデルに対する数値解析を実現できるように計算環境変数を最適化した。 [2]ナノ構造・複合メタマテリアルのトポロジカル強誘電分極秩序と付随機能の評価を行った。上記項目[1]で構築した数値解析技術・装置を用いて、ナノ構造・複合メタマテリアル中の強誘電分極秩序とその位相幾何学的特徴について数値解析的に評価を行った。代表的なSrTiO3/PbTiO3超格子について評価を行ったところ、分極スキルミオンが現れることを示し、これらの幾何学的特徴が実験観察とよく一致することを示した。さらに、スキルミオン形成が超格子膜の厚さや層数に依存することを明らかにした。また、温度やエピタキシャルひずみを変化させることによって、ヘリカル相、スキルミオンバブル相、スキルミオン格子相などに相転移することを示した。本結果は、スキルミオン自体ならびにそれらの集団配列を外部からの力場や温度場によって制御できることを示唆している。特に、スキルミオン格子相においては、結晶材料中と同じように、転位などの格子欠陥が形成され得ることも示した。一般に、格子欠陥は物質の巨視的応答特性を支配する重要な微視因子であることから、スキルミオン格子相における欠陥挙動を理解することで、その巨視的応答特性を制御できる可能性が示唆できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究予定は、[1]ナノ構造化・複合化されたメタマテリアル中の強誘電分極の数値解析技術と計算システムの構築、[2]ナノ構造・複合メタマテリアルのトポロジカル強誘電分極秩序と付随機能の評価、である。研究実績欄に記載のとおり、これらについてはいずれも予定通り実施し、成果を得ている。したがって、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究計画は、[3]トポロジカル強誘電分極秩序の発現機構の解明、[4]電気機械応答特性の評価・解明、[5]機能設計指針・将来展望、であり、現状では特に問題なく、予定どおり実施できるものと考えている。
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