研究課題/領域番号 |
23K17724
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分18:材料力学、生産工学、設計工学およびその関連分野
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
米津 明生 中央大学, 理工学部, 教授 (40398566)
|
研究分担者 |
近藤 俊之 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70735042)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | レーザー誘起粒子衝突試験 / 高速飛翔粒子 / 表面改質 / ナノ・マイクロ材料力学 / ナノ結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,レーザーアブレーション誘起によるマイクロ・ナノスケールの微小粒子を高速で射出する技術(レーザー誘起粒子衝撃試験法:Laser-induced particle impact test: LIPIT)を開発する.その衝突時における超高速な塑性変形によって加工硬化層(ナノ双晶やナノ結晶化)を生成し,新たな表面改質技術を開発する.さらにはナノ秒時間および高い衝突圧力において生成した化学反応による材料結合(コーティング),メンブレン材料などの微細穴あけ一括加工,テクスチャ加工による耐摩耗性に優れた摺動面の創製,さらには超高速衝突による材料損傷研究へと応用する.
|
研究実績の概要 |
2023年度では,レーザー誘起粒子衝撃試験法(LIPIT)の基盤技術を開発した.この原理は,Nd:YAGレーザーを拘束ガラス上のエネルギー吸収層に照射し,レーザーアブレーションを誘起する.これにより急激に膨張したエネルギー吸収層によって表面に散布された微小なマイクロ粒子を射出できた.高速度カメラで撮影した結果,1000m/s近くの飛翔速度を達成し,当初の目標に到達できた.これは,従来のショットピーニングよりも数倍もの高速化に成功し,様々な材料開発につながる技術になりつつある.次に各材料の超高速衝突における塑性変形挙動を検討した.始めに有限要素法を用いてLIPIT実験を再現し,高ひずみ速度域の材料構成則や各種材料定数を決定して,衝突時の実効的なひずみ速度を求めた(例えば,Material Parameters in Constitutive Equation for Plastic Deformation at a High Strain Rate Estimated by High-Velocity Microparticle Collisions. J. of Materi Eng and Perform 32, 5627-5637 (2023)).このような超高ひずみ速度における材料の塑性変形,結晶構造変化を検討するために,衝突圧痕の詳細を観察した.その圧痕周辺のEBSD解析を行って変形双晶の生成やナノ結晶化を観察でき,LIPIT技術特有の塑性変形挙動や結晶構造変化について検討した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のとおり,レーザー誘起粒子衝突試験(LIPIT)の原型を開発し,マイクロ粒子の飛翔速度が1000m/sに到達した.それにより,LIPIT特有の結晶構造変化を確認でき,新たな表面改質技術の達成の感触を得た.
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続いてLIPITの開発と応用を検討する.LIPITによる超高速変形を利用した表面改質を最終目標としており,一つは疲労強度特性の向上,もう一つは耐摩耗性向上を視野に入れている.前者はナノ双晶やナノ結晶の導入が重要であり,その発生プロセスを明らかにするためには実験および計算力学の観点から明らかにする.2024年度は,これまでに検討してきた銅材料に関連した銅箔材料に着目する.LIPITは微小粒子が取り扱えるため極表面に限定した表面改質が期待できるため,銅箔材料を疲労強度特性に関する検討においては選定した.一方,摩擦・摺動面に関しては深い衝突痕を創成することが必要である.つまり,ディンプル形状をLIPIT技術によって創成することが目的であり,そのような圧痕生成できる条件を探索する.このような表面改質の効果を明らかにするために,前者では疲労試験,後者については摺動試験を行い,従来の表面改質技術と比較することで,LIPIT技術の有効性を示す.
|