研究課題/領域番号 |
23K17727
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分19:流体工学、熱工学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
水嶋 祐基 静岡大学, 工学部, 助教 (30844716)
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研究分担者 |
齋藤 慎平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80909606)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 泡沫 / 膜厚計測 / 光ファイバープローブ / 干渉分光法 / Foam / Bubble size / Film thickness / Optical fiber probe / Spectral interferometry |
研究開始時の研究の概要 |
泡沫は食品や美容などの日用品を始め、汚染水浄化、塗料、消火、製鉄、浮遊選鉱など極めて広範な分野で見られる気液分散相の一形態でありながら、未だ測定手法が確立されていない。本研究は泡沫の内部構造解明を目標に、光ファイバー干渉スペクトルプローブ(FISP, Fiber optic Interference Spectrum Probe)の原理構築および精度評価を実施する。
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研究実績の概要 |
高精度マスフローメーターにて泡沫生成装置を構築完了し、ターゲットとするmmサイズの泡沫径を高い再現性で均一に積層することに成功した。 また、3次元光線追跡にて泡沫の簡易モデルを構築し、光ファイバーセンサ(FISP)が泡膜と接触時に形成されるメニスカスを再現、センサ面や泡膜内部での複雑な反射光信号のシミュレーションを実現した。すなわち、①センサ面が泡膜と接触前後に現れる気相・液相検出信号、②泡膜上面と接触する直前に現れる信号、③泡膜下面と接触時に現れる信号、これら3つの異なる反射信号が重畳してFISP信号が取得されることが新たに分かった。このことを実験のみで見出すのは難しく、シミュレーションならではの斬新な発見である。 次に、膜厚・膜間距離が既知の泡膜列を形成し、FISP計測を実証した。計算信号と同様の信号が得られることを確認し、シミュレーションから見出した膜部と接触時に現れる特徴波形を信号処理に活用して膜厚・膜間距離を算出した。結果、参照値に対し±10%程度の差異で膜厚と膜間距離をFISP信号から推定可能であることを実験的に証明した。 一方、泡膜を生成する際に調合する界面活性剤水溶液や他成分の割合、作製から使用までの時間、実験室の気温・湿度などで泡膜の挙動(泡膜の破断のしやすさや、それによる内部気泡の合一)が大きく異なるケースがあることから、実験の再現性確保にはこれらに細心の注意を払う必要がある。本研究テーマが主目的とする計測原理の独自開発に加え、泡沫のlifetime制御に係る実験データを得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究遂行に必要な装置や技術の構築は全て計画通り進行している。 実測時に想定外の信号波形や泡沫挙動が見られるなど、計画外の事象が確認されたものの、それらの原因を調査して新たな知見として獲得することが出来た。 以上の進捗状況を踏まえ、上記区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通りに進捗しており、計画の変更は無い。 構築が完了した泡沫生成装置をフル活用して、計画に従いFISP計測のデータ取りを進めてゆく。実験条件が整理された環境での泡沫生成や計測に関する実験データは内外に存在しないため、データの蓄積が必要である。一方、構築した光線追跡シミュレーションやFISPの高精度化のため、現象の細部を調査する必要も出てくる。 年度前半はデータ蓄積と整理、後半はその中で特異な傾向を示す条件にフォーカスした研究を進めてゆく方針である。
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