研究課題/領域番号 |
23K17730
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分19:流体工学、熱工学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石田 駿一 神戸大学, 工学研究科, 助教 (80824169)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 計算バイオメカニクス / 消化器系バイオメカニクス / 数値流体力学 / 流体構造連成解析 |
研究開始時の研究の概要 |
直腸に腫瘍ができた際に肛門温存型の直腸切除術を行った場合,手術後には排便機能障害(LAR 症候群)が高い確率で発生することが知られている.最近になって,術後患者では直腸の運動機能が大きく低下していることが分かってきたが,依然LAR候群の病態メカニズムは未解明である.本研究課題では,大腸実形状モデルを用いた数値流体力学解析により手術前後における直腸の運動機能・形態の変化と大腸内の力学場の変化との相互関係の解明を目的とする.正常状態から段階的に解析を進め,最終的に,運動機能変化と形態変化によって,正常な排便機能を達成する力学条件からどのように逸脱されるのかを明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,直腸切除手術後における排便機能障害(Low Anterior Resection Syndrome; LARS)の症状が,切除手術による直腸の形態変化と運動機能変化の複合的な力学的要因からなるものであると考え,手術による直腸の運動・形態の変化と,それに起因する大腸内の力学状態との相互関係を定量的に明らかにし,LARSの背景にある力学的メカニズムを明らかにすることを目的とする. 2023年度は,大腸の収縮運動による内容物輸送を実現するための計算力学モデルを開発した.医用画像に基づく実形状モデルを使用し,大腸壁を能動的に収縮する超弾性体としてモデル化した.大腸壁の能動収縮には塑性変形理論を適用し,大腸の変形解析に有限要素法,大腸内容物の流動解析に格子ボルツマン法を用いた.流体構造連成解析手法として埋Immersed boundaryを用いた. 大腸形状モデルは内容物が充填した状態で取得されたのものであったことから,はじめに自然な空腹状態の大腸形状の推定を行った.充填時の大腸内容物の体積を徐々に減少させることで,空腹時の大腸形状を推定した.その結果,内容物体積が20~30%程度減った状態が空腹時大腸の形状として妥当であることが明らかとなった.さらに,大腸壁の能動収縮によって生じる内容物輸送の解析を行った.能動的な収縮により,上流部の圧力低下と下流部の圧力増加が生じ,それに伴って大腸内容物が下流へと輸送され下流部が受動的に拡張するという一連の現象を再現することができた.また,収縮量を変化させたときの内容物輸送の変化を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
流体構造連成解析により健常時の大腸内容物輸送解析が行えているため.
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今後の研究の推進方策 |
文献値を参考に,術後患者の蠕動運動機能低下パラメータを用いた解析を行う.
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