研究課題/領域番号 |
23K17739
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分20:機械力学、ロボティクスおよびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
飛龍 志津子 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70449510)
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研究分担者 |
小林 耕太 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40512736)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | コウモリ / ヒューマンエコーロケーション / 身体拡張 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,人間もコウモリと同様に,音で周囲環境を把握する能力を獲得できるのか,コウモリのエコーロケーションを模倣したバイオミメティクス型の身体拡張技術の創出を目指す.昨今,様々な身体拡張技術が提案されているが,人間の身体機能の向上や補完を目的とすることから,例えば知覚に関しては五感の強化といった人間中心的な発想に留まっている.そこで本研究は,代表者がコウモリ研究で得た知見を活かし,エコーロケーションを行う装置の開発と適切な訓練により,コウモリのエコーロケーション能力を人が獲得できるか,という挑戦的な課題に挑む.
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研究実績の概要 |
本研究は,コウモリのエコーロケーションを模倣したバイオミメティクス型の拡張の可能性を探求し,関連する技術の創出を目的としている. 本年度はエコーロケーションを人間が体験できる装置として,超音波センシング機能が搭載された自走型ロボットを基盤として,様々な改良を行った.具体的には,ロボットが超音波センシングによって受信する周囲からのエコーをリアルタイムに可調音に変換するピッチ変換プログラムの実装を行った.また走行中のロボットが受信する超音波エコーをピッチ変換した後,無線により遠隔にいる被験者が装着するヘッドホンより呈示するシステムを確立した.被験者は遠隔よりリモコンによりロボットの走行を操作し,また任意の方向やタイミングでエコーロケーションを行うことが可能となった.さらに当該システムを用いた場合のエコーロケーションの基礎的な能力を確認するために,条件を様々に変えたピッチ変換後の音を用いて,方向定位の実験をヒトを被験者として実施した.その際,バイノーラル録音を実現するミニチュアダミーヘッドとして,コウモリの実頭モデルを用いた場合と,ヒト型ダミーヘッドを用いた場合での比較も行った.さらに実験室内に障害物環境を構築し,遠隔からリモコンを用いてロボットの走行とエコーロケーションを行い,障害物空間を通過できるか,走行実験を行った.数回の訓練によって,エコーロケーションによるロボットの完走率が向上することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音響の信号処理の実装及び無線による遠隔操作など,エコーロケーション実験に必要な自走ロボットの改良が無事に行うことができた.これによって開発したシステムを実際に用いて,障害物環境を走行する実験環境が整い,予定していた人がエコーロケーションを行いながらロボットを走行させる実験を行うことができた.被験者数と試行数はまだ少ないが,当初の仮説の通り,訓練により走行率が向上することも確認することができた.これらの結果を,日本音響学会にて発表することができた.
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今後の研究の推進方策 |
ハードウェア面に関してはまだ動作が不安定な個所があることから,さらに改良を行う.またどのようなエコーロケーション信号がヒトの場合ふさわしいのか,また場面や課題によって人はどのようなエコーロケーション信号を選択するのか,学習の過程や個人差など,ヒトエコーロケーションに関する基礎的なデータを蓄積していく.
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