研究課題/領域番号 |
23K17742
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小室 淳史 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (70733137)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 大気圧プラズマ / 雷 / 高層大気 / プラズマ / スプライト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、雷雲上空で発生する超高層雷放電(TLEs: Transient Luminous Events)の室内模擬実験を行い、TLEsのメカニズムを解明するとともに、大気組成への影響を明らかにすることを目的とする。TLEsは、大気組成および上層大気のオゾン化学に影響を及ぼす可能性が示唆されており、そのメカニズムを解明することは地球大気化学を理解することにつながり、ひいてはオゾン層の保護や温暖化問題の解決に寄与することになる。このような放電発光現象を実験室内で模擬的に発生させることが出来れば、発生場所と時間を確実に制御できることから、これまでは難しかった高精度な計測を行うことが出来る。
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研究実績の概要 |
初年度の研究としては主に実験環境の整備として放電チャンバーの製作と真空排気系の整備、放電電極の設計と製作を行った。放電チャンバーの製作では、研究室で保有していたステンレス真空槽を再利用し、設計から加工までを自ら行うことによって大幅な研究予算の節約が出来た。また上層大気環境の圧力を模擬するためにロータリーポンプを設置し、チャンバー内を十分に排気しガスを置換するためにターボ分子ポンプを設置した。放電電極として、最もシンプルな電極形状での放電発生を試すために平行平板電極を設計した。放電ギャップを0-15 cmまで変えられるようにし、異なるサイズの放電で試験が行えるようにした。放電の観測を行うために2台のストリーミングカメラを購入し、異なる角度から撮影を行うことで放電フィラメントのステレオ画像が取得できるようにした。今後は構築した実験システムを用いて放電実験を開始し、両極性の放電が発生する条件を探していく。平行平板電極に通常のパルス高電圧を印加するだけだと放電が発生・成長しにくいことが想定されるので、放電が発生する条件を印加電圧波形の観点から探すことから試していきたいと考えている。現在のところ、立ち上がり速度を急峻にしたパルス電圧や直流電圧を重畳した交流高電圧などを想定している。さらに、上層大気中における太陽紫外線やエックス線の吸収による電離現象を模擬するための要素を加え、高高度発光現象をチャンバー内で再現することを試みていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究では主に実験環境の整備として放電チャンバーの製作と真空排気系の整備、放電電極の設計と製作を行った。放電チャンバーの製作では、研究室で保有していたステンレス真空槽を再活用し、設計から加工までを自ら行うことによって大幅な研究予算の節約が出来た。真空排気系の整備ではロータリーポンプとターボポンプの配管系や電源系統の整備をおこなった。現状では10の-3乗パスカル程度までは容易に作れる状況となっており、目的としている実験環境としては充分である。放電電極の設計としては、まずは最もシンプルな電極形状での放電発生を試すために平行平板電極を設計した。放電ギャップを0 ~ 15 cmまで変えられるようにし、異なるサイズの放電で試験が行えるようにした。放電の観測を行うために2台のストリーミングカメラを購入し、異なる角度から撮影を行うことで放電フィラメントのステレオ画像が取得できるようにした。任意の時間における放電フィラメントのステレオ画像を取得するために、今後は放電発生のタイミングとカメラのトリガタイミングを合わせるための方法を考える必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に構築した実験システムを用いて放電実験を開始する。まずは平行平板電極にパルス電圧をかけて放電が発生する条件をみつける。平行平板電極に通常のパルス高電圧を印加するだけだと放電が発生・成長しにくいことが想定されるので、放電が発生する条件を印加電圧波形の観点から探す。現在のところ、立ち上がり速度を急峻にしたパルス電圧や直流電圧を重畳した交流高電圧などを想定している。さらに、上層大気中における太陽紫外線やエックス線の吸収による電離現象を模擬するための要素を加える。真空紫外光による予備電離の生成、摩擦による静電気の発生により、背景ガスの電離度を操作できないかを検討する。放電の進展はデジタル一眼レフカメラを用いて高解像度撮影し、またストリーミングカメラでステレオ画像測定を行う。これらの撮影により、放電の進展長や発光強度の測定、また放電フィラメントの3次元構造の変化を計測する。これらの方策により、高高度発光現象をチャンバー内で再現することを試みる。
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