研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、生体材料としても重要なタンパク質や医薬品化合物(有機低分子)の働きに大きな影響を与える結晶多形を、テラヘルツ(THz)分光によって明瞭に識別し、空間分布を取得する。わずかな構造・組成の変化が、THzスペクトルに大きな影響を与えるため、この情報より異なる結晶多形を識別する。結晶多形の空間分布の計測を実施し、異なる試料状態下における空間分布や、時間変化を明らかにする。室温相当のエネルギーで生じる相変化は、生命機能や人体の維持・活動と深く関わりを持つ。室温よりも低エネルギーのTHz波によりそれらの状態変化を観測し、生命機能に関するダイナミカルな知見を得ることを目指す。
本研究では、生体材料としても重要なタンパク質や医薬品化合物(有機低分子)の働きに大きな影響を与える結晶多形を、テラヘルツ(THz)分光によって明瞭に識別し、空間分布を取得する。わずかな構造・組成の変化が、THzスペクトルに大きな影響を与えるため、この情報より異なる結晶多形を識別する。テラヘルツ波を用いた高空間分解能の顕微鏡の開発においては独自の磁性体超薄膜試料Fe/Pt構造のスピントロニックテラヘルツエミッタをマグネトロンスパッタリングで作製しフェムト秒パルスレーザー照射により、十分な強度のテラヘルツ波が発生していることを確認できた。イメージング計測用に、大口径試料の作製にも従事した。この光源をもちいた顕微システムにおいて、空間分解能にして、波長の30分の1以下の空間分解能を達成することに成功している。現在最適化を行っておりさらなる高分解能化を試みる。尿路結石の主成分であるシュウ酸カルシウムおよびその水和物を計測の対象と選択肢し、テラヘルツ領域における吸収等の計測を実施した。1水和物(COM)と2水和物(COD)で特徴的なピークを観測することができ、それらのピークを利用することで、識別できることを確認した。また空間マッピング計測も実施、尿路結石の切片において、外側では不安定なCOD相が多く、内側では安定で硬いCOM相が多いことを確認できた。これらの成果については、テラヘルツ・赤外領域の世界最大の国際会議であるIRMMW-THzで発表を実施した。
2: おおむね順調に進展している
システムの開発や、対象試料の測定など、計画どおりに進んでおり、さらに進展させていく。
顕微システムの空間分解能の向上およびテラヘルツ光源の広帯域化・高強度化を試みる。測定対象についても、生体材料をはじめとした他試料に、現システムでの計測を実施していく。生体材料における低エネルギーの結晶多形間や物質間の相変化ダイナミクスを明らかにし、体内で生じている生体機能・人体の維持等における低エネルギー状態変化が及ぼしている寄与の解明を目指す。
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精密工学会誌
巻: 90 号: 4 ページ: 337-341
10.2493/jjspe.90.337