研究課題/領域番号 |
23K17757
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
秩父 重英 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80266907)
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研究分担者 |
嶋 紘平 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40805173)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 窒化ホウ素(BN) / ポリタイプ / 気相合成 / 窒化ホウ素 |
研究開始時の研究の概要 |
禁制帯幅約6 eVの六方晶窒化ホウ素(hBN)のポリタイプには、積層周期ABで表されるグラファイト(bernal)構造BN(bBN)が存在する。bBNは、hBNと同様に室温で高効率な深紫外(DUV)発光が期待できるとともに、c軸方向の反転対称性が無くなるためDUV波長域の第2高調波発生素子としても期待できる。極最近bBNが存在する事が示されたが液相法により合成された微結晶しか得られておらず、それらの試料を用いた発光計測や計算による物性予測が中心である。本研究では、物性計測に耐えうる大きさと相純度をもつbBNの気相成長を実現し、光電子素子を念頭に置いた発光ダイナミクス計測等を行う。
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研究実績の概要 |
禁制帯幅約6 eVの六方晶窒化ホウ素(hBN)には、積層周期ABで表されるグラファイト(Bernal)構造のBNポリタイプ(bBN)が存在する。bBNはhBNと同様に室温で高効率な深紫外(DUV)発光が期待できるだけでなく、c軸に沿った反転対称性が無くなるためDUV波長域の第2高調波発生素子用材料としても期待できる。極最近bBNが存在する事が示されたが液相法により合成された微結晶しか報告されておらず、それらの試料を用いた発光計測や計算による物性予測が中心であった。本研究の目的は、物性計測に耐える大きさと相純度をもつbBNの気相成長を実現し発光ダイナミクス計測等を行うことにある。 R5年度は、半導体エレクトロニクスグレードのBNエピタキシャル薄膜を成長させるため既存の有機金属気相エピタキシャル(MOVPE)成長装置の改造を行い、基板温度を従来の最高1200℃から1450-1500 ℃で使用できるようにした。この理由は、BCl3とNH3を原料に用い化学気相堆積(CVD)法で成長されたhBNエピ層を評価した結果、高温成長の方がバンド端発光強度が強く非発光再結合寿命も長かったからである。また、bBNが混在する、主としてhBNのCVD薄膜を用いて空間分解カソードルミネッセンス(SRCL)評価を行い、どういった部位・表面状態の場所にbBNができやすいかを調べた。その結果、特定のカラムに於いて途中から積層がAA'からABに変化する箇所を発見した。 R6年度bBNおよびhBNの相純度が高いエピタキシャル薄膜を成長させるための条件を明らかにして発光効率の向上に努める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R5年度は、実績欄に記したように(1)半導体エレクトロニクスグレードのBNエピタキシャル薄膜を成長させるため既存の有機金属気相エピタキシャル(MOVPE)成長装置の改造を行い、基板温度を従来の最高1200℃から1450-1500 ℃で使用できるようにした。これにより、BCl3とNH3を原料に用い化学気相堆積(CVD)法で成長されたhBNエピ層の評価において確認できたようにバンド端発光強度が強く非発光再結合寿命も長いBNのエピ成長が可能になると考えられる。また、(2)CVD膜の評価において、成長条件がbBN相の含有率に与える影響を定量化した。この結果はR6年度の成長条件に生かされる。そして(3)bBNの発光機構を解明するため、フェムト秒パルス電子線を集束して用いる日本に唯一のSTRCL計測系の高性能化を行った。R6年度にはナノメートル台の空間領域における発光ダイナミクスを観測して励起子発光寿命や拡散長等を明らかにする。 以上のように、計画通り研究が遂行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度が最終年度となるため、(1)高温成長が可能となった有機金属気相エピタキシャル(MOVPE)成長装置を用い、1450 ℃以上の高温成長によりhBNおよびbBNの高品質化を行ったうえで、(2)成長条件を変化させbBNの混入メカニズムについて考察を行う。そして(3)bBNの発光機構を解明するため、フェムト秒パルス電子線を集束して用いる日本に唯一のSTRCL計測系を用いて時間および空間分解情報を明らかにする。これらが計画通り進めばbBN以外のUWBG半導体の発光機構研究や物性の理解にも貢献できるようになり、最終的にはグローバルな水不足問題の解決や感染症拡散防止、各種励起光源の小型化等のため早期実現が望まれているDUV光源の高効率発光化に寄与できると考えられる。
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