研究課題/領域番号 |
23K17759
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高木 康博 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50236189)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | ホログラフィー / フォトンシーブ / 非周期構造 / 表示範囲拡大 / スペックル除去 |
研究開始時の研究の概要 |
現在のホログラム表示には、(1)立体像の表示範囲が狭い、(2)立体像にランダムな強度分布であるスペックルノイズが発生するといった問題がある。本研究では、ホログラム表示に位相モザイク構造を導入して周期的な空間変調を非周期化することで、立体像の表示範囲を拡大する。さらに、複数の位相モザイク構造を用いて、ホログラム表示のインコヒーレント化を図り、スペックル除去を実現する。本研究は、従来の常識を覆す非周期空間変調を用いたホログラム表示を、その実用化を阻んでいる表示範囲拡大と立体像の明るさの間のトレードオフの関係を位相モザイク構造により打破し、電子的なホログラム表示を実用化に向けて前進させるものである。
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研究実績の概要 |
現在のホログラム表示には、(1)立体像の表示範囲が狭い、(2)立体像にランダムな強度分布であるスペックルノイズが発生するといった問題がある。本研究では、ホログラム表示に位相モザイク構造を導入して空間光変調器がもつ周期的な空間変調を非周期化することで、立体像の表示範囲を拡大する。位相モザイク構造は、フォトポリマーを用いて、フォトンシーブの回折光を干渉露光法により記録することで作製する。位相モザイク構造は、光の位相のみを変調し振幅は変調しないため、従来のフォトンシーブを用いたホログラム表示がもつ再生像が暗くなる問題点を解決できる。さらに、複数の位相モザイク構造を用いて、ホログラム表示のインコヒーレント化を図り、スペックル除去を実現する。本研究は、従来の常識を覆す非周期空間変調を用いたホログラム表示を、その実用化を阻んでいる表示範囲拡大と立体像の明るさの間のトレードオフの関係を位相モザイク構造により打破し、電子的なホログラム表示を実用化に向けて前進させるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 位相モザイク構造の実現:透明なホログラム材料であるフォトポリマーに、フォトンシーブを通過後の回折レーザー光と参照レーザー光の干渉パターンを記録することで、HOEとして位相モザイク構造を作製する。位相モザイク構造を導光板に貼り付けて、薄型な照明光学系を作製した。レーザー光は、導光板内を全反射して伝播し、位相モザイク構造により収束光として導光板外部へ出射される。 (2) 表示範囲拡大の実証実験:空間光変調器に画素ピッチが12.5 μmの市販の透過型液晶パネルを用い、(1)で作製した位相モザイク構造を用いてホログラム表示を行った。 (3) 画質向上のためホログラム計算法の開発:フォトンシーブを用いたホログラム表示では、再生像の制御性が低いことが問題である。提案法では、位相変調型の空間光変調器を用いるので、振幅分布を一定にする近似を行うため再生像に誤差が生じる。本研究では、位相型ホログラムの最適設計法で用いられるGerchberg-Saxtonアルゴリズをもとにして、空間光変調器に表示する位相分布を最適設計するアルゴリズムを開発した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) マルチ位相モザイク構造を用いたスペックル除去の実現:M個の位相モザイク構造を用いて、空間光変調器の画素をM個単位でブロック化し、各ブロック内で位相モザイク構造に対応する画素をランダムに決める。つぎに、立体像を構成する集光点を位相モザイク構造に対応してM個のグループに分割する。その際に、各グループで集光点ができるだけ疎になるようにする。実験では、4個の位相モザイク構造を作製し、それぞれに異なるレーザーを対応させて、スペックル発生が抑制されることを確認する。 (2) カラー化の検討:マルチ位相モザイク構造をR, G, Bの3色に割り振ることでカラー表示が可能になる。この場合、R, G, Bのレーザーの間にコヒーレンスはないから、スペックル除去機能は維持される。(1)で作製した位相モザイク構造のうち3個を用いて、カラー表示を行う。
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