研究課題/領域番号 |
23K17761
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
西中 浩之 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 准教授 (70754399)
|
研究分担者 |
井口 博之 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 准教授 (30712020)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | 細胞外電子伝達菌 / 光半導体 / 人工光合成 / ナノロッド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では細胞外電子伝達菌と光半導体を融合させた、新しい微生物人工光合成システムに関する研究を行う。この細胞外電子伝達菌は、代謝に外部の電子を利用する微生物であり、その電子と微生物内の酵素を利用することで高効率な物質生産が可能である。そこで、本研究では光半導体と太陽光による電子生成を利用し、この電子と細胞外電子伝達菌によって人工光合成システムを構築し、カーボンニュートラル社会に貢献することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
細胞外電子伝達菌と光半導体を組み合わせた人工光合成システムの構築に向け、その光半導体の形成と細胞外電子伝達菌による電気化学評価系の構築を進めている。その光半導体として、In2O3にBiを添加することで形成される中間準位を利用した可視光応答型の光触媒を取り上げた。実際にIn2O3薄膜にBiを添加すること(IBO)で中間準位による可視光を吸収することを彰隆にした。またこのIBO薄膜が吸収した可視光によって光触媒反応が進むことを実証した。さらにこの光半導体と細胞外電子伝達菌を組み合わせるために、In2O3にBiを添加したIBOのナノロッドの形成を行った。金触媒を利用したVLS成長法とミストCVD法によって、IBOナノロッドが形成されることが分かった。 また、細胞外電子伝達菌を用いた電気化学評価系のセルの立ち上げなどを進めている。その細胞外電子伝達菌には、Methanosarcina barkeriを利用している。現在このMethanosarcina barkeriとITO薄膜や炭素電極を用いて電気化学的手法によってメタン形成を行う評価系の構築を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞外電子伝達菌と光半導体を組み合わせた人工光合成システムの構築に向けて、1.細胞外電子伝達菌が棲み付くことが可能な可視光応答する光半導体の形成技術の確立と、2.その光半導体と細胞外電子伝達菌を利用した光電気化学評価システムの構築を進めている。 1.可視光応答する光半導体の形成では、ミストCVD法を利用して新しい可視光応答光半導体として、In2O3にBiを添加したIBO薄膜の形成を行い、IBO薄膜が可視光を吸収し、かつ光触媒反応することを実証した。さらにこのIBOを金触媒を利用したVLS成長を行うことで、細胞外電子伝達菌が棲み付くためのナノロッドの形成を試みた。ミストCVD法とVLS成長によってIBOナノロッドの形成に成功した。 2.光電気化学評価システムの構築では、電気化学セルを新規に導入し、細胞外電子伝達菌と炭素電極やITO電極を用いて、メタン発生の検討を開始した。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは、細胞外電子伝達菌を利用した電気化学セルの評価系を構築する。安定的な培養条件、メタン発生における実験条件の確立を進めていく。その後、ミストCVD法とVLS成長を利用したITO(Indium Tin Oxide)ナノロッドを利用して電気化学セルを利用したメタン発生の検討を行う。安定したメタン発生が達成できた後、IBOナノロッドやITOナノロッドにIBOを被覆した光半導体電極と細胞外電子伝達菌に光照射し、太陽光によるメタン発生の実現可否を評価する予定である。
|