研究課題/領域番号 |
23K17762
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
竹野 裕正 神戸大学, 工学研究科, 教授 (90216929)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 直接発電 / プラズマ / 高周波安定化 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の核融合直接発電の手法では,荷電粒子が電極等の金属面に達する際に発生する二次電子により,発電動作が乱される.磁場閉込円柱プラズマを誘導発電機の回転子と見立てて,周方向に回転伝搬する不安定波をプラズマを破壊しない程度に制御すれば,誘導発電機の原理に沿った,二次電子に影響されない新しい発電法になり得る.本研究では,印加高周波の側帯波で不安定波を制御して,固定子巻線に起電力を発生させる原理の実証を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究では,核融合炉内の磁場閉込円柱プラズマで周方向に回転伝搬する不安定波の振幅をプラズマを破壊しない程度に制御し,これを誘導発電機の回転子と見立てて,周囲に設置した固定子巻線で発電するとの着想について,模擬実験で原理検証を行う.次年度以降,模擬実験装置を構築して研究を進めるために,今年度は装置の機械設計の元となる,磁場設計および装置概要設計を行った. 既存のコイル磁場計算コードに,その計算結果から,ミラー磁場中央面の指定位置を通る磁力線を追跡し,同時に曲率を計算する機能を追加した.既存の4個の磁場コイルを同軸状に配置してミラー磁場を形成する際に,適度な曲率が形成されるためのコイルの位置を,計算結果に基づいて調べた.その結果,ミラー点間隔を大きくすると曲率は低下するが,両側それぞれのコイル間隔は,中央面の曲率には影響しないことがわかった.現実的な配置でミラーコイル間隔が40cm程度で,中央面半径5cm程度のプラズマが期待できそうである. さらに,適切なコイル配置に基づいて,装置の概要設計を行った.予算と部品製作時間の節約を考慮して,既設部品の有効利用を念頭に置いた.当初は既存の真空容器を主に考えたが,むしろ他の既存の周辺部品に合わせて,真空容器を新規に製作することとした.強磁場域では既存の磁場コイルにφ80mmのガラス管を通し,それぞれの外側にガス導入口および高周波アンテナを配置する.既存の2系統の高周波電力源を利用して,両側のアンテナに周波数差をもつ2種の高周波を独立に給電し,プラズマ生成と安定化,そして側帯波励起と不安定性の励起を狙う. 以上に基づいて,次年度以降の模擬実験を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は,初年度には,数値計算に基づいてプラズマの安定性および側帯波の励起を予測して装置設計を進める予定であった.しかし,当初想定していた既存の真空容器を主とした実験装置の構築が困難との判断に時間を要し,既存部品と新規製作部品の選択を逆転させるという方針およびそれに沿った概要のとりまとめが遅れたために,安定性等の数値計算が実施できなかった.初年度に安定性等の見積が得られていない点を考慮して,やや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
初年度で,模擬実験装置の概要設計ができたことを受けて,第2年度は機械設計を詰め,新規部品の製作および必要物品の調達を進める.実際に装置構築へと進め,プラズマ生成の初期実験を行う.実験では,密度揺動と高周波電磁界分布を測定する. 初年度に未達となった,装置構築前の見積と位置づけていた,数値計算による安定性および励起側帯波については,実験結果を受けての解析として実施する.見積が十分ではないが,それに代わって,装置条件に柔軟性を持たせる予定である.磁場は左右のミラーで独立に強度を変化でき,またコイル間隔もある程度可変とする.高周波も2周波を完全独立系統とし,ミラー磁場に影響はあるものの,プラズマ生成用磁場も2周波で独立に変化できる. 第2年度で以上の様に進めることができれば,当初の計画通り,第3年度には直接発電の原理検証実験へと進めることができる.
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