| 研究課題/領域番号 |
23K17763
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| 研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
河江 達也 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30253503)
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| 研究分担者 |
志賀 雅亘 九州大学, 工学研究院, 助教 (40961701)
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| 研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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| キーワード | 水素 / 超伝導 / 離散準位 / 人工原子 / 非弾性電子分光 / 量子トンネル / 量子ビット |
| 研究開始時の研究の概要 |
本計画では超伝導体中水素が形成する2準位状態に注目し、以下の3テーマに焦点を絞り研究を進めることで、新たな量子ビットの実証実験を行う。 (i) 超伝導体中水素が形成する2準位状態をqubitとして利用できるのか明らかにするため、高周波(数十GHz)照射実験を行う。 (ii) 超伝導体に捕捉された水素2準位状態出現の起源を明らかにする。 (iii) qubitとして具現化するため、実際に小型素子を作製し、そのネットワーク化を行う。さらにその性能評価実験を行う。
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| 研究実績の概要 |
極低温域では物質の熱運動は抑制される。しかし水素は質量が最も小さい元素であるため、ヘリウムと並んで強い量子性を示すことが知られている。したがって極低温域でもトンネル効果によって物質中に侵入・拡散が起きる可能性がある。さらに近年注目を浴びる量子コンピュータに使用される量子ビットにおいても、水素が量子ノイズの原因となることが近年の研究で明らかになっている。このような背景より極低温域における金属内水素の量子的振る舞いは活発に調べられて きた。 一方、超伝導金属に吸着あるいはその内部に侵入した水素の挙動についてははほとんどわかっていなかった。超伝導転移するとフェルミ面に超伝導ギャップが出現する。このため水素が周囲の電子系より受ける相互作用は大きく低減し、トンネル拡散係数は指数的に上昇することが理論的研究から指摘されている。これは水素が示す量子現象も常伝導状態から劇的に変化することを示唆する。しかし実験的には、超伝導体中水素の量子的振る舞いに焦点を絞った研究は全く実施されいなかった。そこで、我々は超伝導体に吸着あるいは内部に侵入した水素の量子的振る舞いを調べてきた。 これまでの実験で、超伝導ジョセフソン接合(SCS-JJ)に低温で水素を吸着あるいは吸蔵させその特性を調べてきた。その結果、SCS-JJ内の準粒子は水素の影響を強く受けるため、SCS-JJ内を流れる微分伝導信号に~0.1mV間隔で多数のスパイク構造が出現することを明らかにしている。この結果は、超伝導体表面に捕捉された水素は~0.1mVのエネルギー幅を持つ離散エネルギー準位を形成しており、クーパー対準粒子と衝突することで各サイトの水素が励起され信号が得られるとして理解できる。そこで本計画では、超伝導金属に束縛された水素は2準位系を形成するため、この2準位系を利用した量子ビットを生成する。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
理由 Nb製超伝導-常伝導-超伝導ジョセフソン接合(SNS-JJ)を作製し、その表面に水素を吸着させた際の微分伝導信号dI/dVを詳細に調べた。T~20KでH2をSNS-JJに吸着させるとdI/dV信号は大きく変化し、超伝導ギャップ内にスパイク状のピークがに多数出現した。さらに、温度変化させてもスパイク間隔は変化しない。このスパイク信号の起源を探るため、水素をSNS型ジョセフソン接合の内部まで侵入させ実験を行った。その結果、やはり超伝導ギャップより低エネルギー側のdI/dV信号にスパイク状ピークが多数出現することがわかった。 PdHxは水素濃度x(=H/Pd) ≧0.75になると超伝導が出現する。しかし水素は容易に脱離し試料内の水素濃度が不均一になるため、その詳細な超伝導物性は解明できていない。我々はT≦200Kの低温で数週間以上の時間をかけゆっくりと水素吸蔵させ、続けて試料の冷却を行うことで水素脱離を抑制した均質なPdHxにおける超伝導物性の測定に成功した。この方法を用いて作製したPdHx薄膜の超伝導転移を調べ、非常にシャープな転移を示す均質試料にもかかわらず超伝導転移後にゼロ抵抗を示さない。この残留抵抗の原因として、理論研究で指摘された超伝導転移により水素トンネルが容易になったことによる抵抗発生として理解できることを明らかにした。 超伝導中水素のトンネル拡散の一般性を検証するため、振動ワイヤ法を用いてNbH0.02試料を用いて、その共振特性を調べた。その特性は純粋なNbから変化することを明らかにし、超伝導体中水素のトンネル拡散の一般性を明らかにした。 これら研究に関連して論文や学会発表もできている。しかし昨年8月に突然の停電が発生し、測定器が破損してしまい測定が出来なくなってしまっており、その回復に努めている。その尾ような原因により、当初の予定より遅れが生じている。
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| 今後の研究の推進方策 |
これまでの実験より超伝導-常伝導-超伝導ジョセフソン接合(SNS-JJ)に水素が侵入した場合、多数のスパイク状ピークが発生することを明らかにした。さらにこピークの起源は水素(プロトン)が超伝導ギャップより大きなエネルギーを持つ電子と相互作用することによって出現していると考えられる。そこで、この水素と電子間の相互作用について、微細加工試料や単結晶薄膜試料などを用いてより詳細に調べる。 振動ワイヤ法を用いてNbH0.02試料を用いてその共振特性を調べたところ、超伝導体中水素は常伝導金属より容易にトンネル拡散することを明らかにした。これは微量の水素が存在すれば量子デバイスの超伝導特性は大きく変化することを意味する。つまり超伝導中に侵入した微量水素の量子的振る舞いは、これまで考えられていたものよりはるかに多様な性質を示す。一方、水素を微量に含む金属の超伝導特性については全く解明されていない。そこでまずは超伝導体中水素の基礎物性を調べて行く。その後に超伝導体中水素の量子状態制御を行う。
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