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粒状体流れのマルチスケール動力学の解明:土砂災害防止策の新パラダイムをめざして

研究課題

研究課題/領域番号 23K17772
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分22:土木工学およびその関連分野
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

前田 健一  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50271648)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
キーワードマイクロメカニクス / マルチスケール / 二重性 / 粒状体 / 個別要素法
研究開始時の研究の概要

粒子濃度が高く、大きな運動エネルギーを持つ粒子流れである土砂流の挙動を二重性(粒子性と波動性)に着目した量子力学的視点とマルチスケールな視点から捉える。従来から難題とされてきた、粒子特性や河床特性(勾配や粗度)が異なる場合の流れのパターン(流れ構造等)を合理的に分類可能な力学指標・法則の発見や大きな粒子の浮き上がり現象や分級などの特徴的挙動の統一的解釈について、学術的突破口を切り開く、全く新しい学理、ダイナミクスの発見、構築が目的である。
防災・減災だけでなく、堆積・地形形成、それに起因する環境保全や生物多様性等の観点からも重要で意義の高い研究課題である。

研究実績の概要

粒状体の流れについて「粒子性」と流れ内部を伝播する応力波による「波動性」の二重性に着目し、量子力学とゆらぎの粗視化の現代物理学的視点で捉え、流れの動力学の新たな学理の発見をねらった。複数の粒子が鎖状に連なり力を伝える「応力鎖」の発生・発達・消滅原理を量子力学的に解明を目指した。この鎖のゆらぎによる応力波伝播をスティック・スリップ現象として粗視化して捉え、斬新な粒状体流れのマイクロメカニクスの構築を目指した。そのために、粒子間滑りや回転、応力鎖、応力・間隙比、速度等のマルチスケールな幾何・物理量同士の相互作用の可視化を音響・レーザー干渉によるトモグラフィを導入した実験手法や数値解析手法の開発を試みた。河床特性や粒子・土塊特性の違いによって崩壊土砂の流れ形態が激変する現象、大きな粒子の浮き上り、分級等の現象の深淵を捉え、統一的解釈を与える新たなフルード数などの物理指標を検討した。
密度分布・応力鎖の可視化装置の開発を試みた。スティック・スリップと二重性の抽出のためである。密度分布、粒子骨格構造として応力鎖の形状、配向などの幾何学的統計量の計測の実現が期待される。ゆらぎ計測は画像解析(PIV)も併用する。スティック・スリップを原理の異なる方法で観察し、粒子と波動の二重性を抽出する。
応力鎖のダイナミクスと粒状体流れのマイクロメカニクスを検討した。ゆらぎの定理や応力鎖の発達時の安定性(どれだけ応力鎖の繋がりが延伸できるか)の記述(パーコレーション理論と粒子接点数・配位数)の定式化を試みた。数値解析については,開発済みの3次元DEMに流体との連成効果の導入を進めている。
応力鎖のダイナミクスおよび粗視化モデル(スティック・スリップ)から導かれる、流れ中の応力鎖の疎密の波動(応力波)の波速と流れの速度との関係であるフルード則の提案を試みた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究における検討の試み,ツールの試作についてはほぼ計画通りに進んでいる。一方で,ジャーナルなる論文の執筆までの成果に至っていないのでおおむね順調とした。

今後の研究の推進方策

本研究では、応力鎖の発生・消滅というゆらぎのダイナミクス、土質力学の特徴的概念である限界状態の概念、流れ挙動や内部で発生する応力波の伝播とその波速に基づく新たな相似則等に着目して、粒状体流れに関する模型実験と数値解析を行い、両結果の比較や相互補完によって検討を進める。崩壊土砂の流れが流動型と非流動型に分かたれる理由についても、試料の粒度や粒形、間隙水の有無、河床粗度、傾斜角などの影響について体系的に調べる。模型実験では、画像解析による速度計測、音響の速度・減衰率及びレーザー干渉の測定を高速多点で実施することで三次元トモグラフィを可能にして内部の密度や応力鎖の可視化を試みる。解析では、DEM解析及び流体計算CFDと連成した計算を行う。
流れ中のマイクロメカニクスを構築する。応力鎖の発生を粒子挙動の観察と量子力学的視点で理解し、パーコレーション理論等の援用で発達、安定性と消滅を検討する。この応力鎖のダイナミクスおよび粗視化モデル(スティック・スリップ)から導かれる、流れ中の応力鎖の疎密の波動(応力波)の波速と流れの速度との関係(フルード則)を検討する。既存の開水路の水理学の成果も融合して考察する。これによって、粒子レベルから流れ構造レベルまでを繋ぎ、巨石の浮き上がり、分級等の粒状体流れの未解明現象に統一的な解釈を試みる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 衝撃載荷および静載荷による砂質土を用いた落石防護土堤の破壊挙動2024

    • 著者名/発表者名
      木村 絢, 前田 健一, 牛渡 裕二, 中村 拓郎, 内藤 直人, 近藤 慶亮
    • 雑誌名

      土木学会論文集

      巻: 80 号: 3 ページ: n/a

    • DOI

      10.2208/jscejj.23-00253

    • ISSN
      2436-6021
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 漏水流量と基礎地盤の損傷の関係から導く河川堤防のパイピング破壊曲線2024

    • 著者名/発表者名
      澤村直毅,前田健一,大桑有美
    • 雑誌名

      土木学会論文集

      巻: 80 号: 16 ページ: n/a

    • DOI

      10.2208/jscejj.23-16008

    • ISSN
      2436-6021
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 漏水流量と地盤損傷の関係性に着目した 河川堤防のパイピング破壊に対する矢板の効果2023

    • 著者名/発表者名
      澤村直毅,前田健一
    • 雑誌名

      河川技術論文集

      巻: 29 号: 0 ページ: 169-174

    • DOI

      10.11532/river.29.0_169

    • ISSN
      2436-6714
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ポケット部に緩衝材を有する落石防護土堤への実規模落体衝突実験2023

    • 著者名/発表者名
      磯合凌弥,前田健一,牛渡裕二,中村拓郎,木村絢
    • 雑誌名

      構造工学論文集 A

      巻: 69A 号: 0 ページ: 1082-1094

    • DOI

      10.11532/structcivil.69A.1082

    • ISSN
      1881-820X
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 材料・スケールの異なる落石防護土堤の破壊性状の把握2024

    • 著者名/発表者名
      小栗快之,木村絢,近藤慶亮,前田健一,中村拓郎,鈴木健太郎,高坂晏志,瓦井智貴
    • 学会等名
      令和5年度土木学会北海道支部年次技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 材料の異なる落石防護土堤に対する重錘衝突時の速度・エネルギーの遷移挙動2024

    • 著者名/発表者名
      近藤慶亮,木村絢,小栗快之,前田健一,中村拓郎,海部友和,内藤直人
    • 学会等名
      令和5年度土木学会北海道支部年次技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 重錘衝突実験による落石防護土堤の内部および表面変状と貫入抵抗2024

    • 著者名/発表者名
      澤村直毅,木村絢,近藤慶亮,小栗快之,前田健一,中村拓郎,内藤直人,益子優太
    • 学会等名
      令和5年度土木学会北海道支部年次技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 単発および繰返し衝撃載荷実験による落石防護土堤の変形破壊挙動への影響2024

    • 著者名/発表者名
      木村絢,近藤慶亮,小栗快之,前田健一,中村拓郎,牛渡裕二,奥河優斗
    • 学会等名
      令和5年度土木学会北海道支部年次技術研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 落石防護土堤の破壊性状把握のための重錘衝突実験およびDEM解析2023

    • 著者名/発表者名
      木村絢,前田健一,中村拓郎,岡部里音,内藤直人,近藤慶亮
    • 学会等名
      第14回構造物の衝撃問題に関するシンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 落石防護土堤の破壊メカニズム解明に向けた小型・中型静的実験と二次元DEM解析2023

    • 著者名/発表者名
      近藤慶亮,前田健一,木村絢,小栗快之,中村拓郎,海部友和,内藤直人
    • 学会等名
      第35回中部地盤工学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] Theory and Application of Hydraulic Modeling Interaction between Wave and Ground Motion2024

    • 著者名/発表者名
      T. Arikawa et al.
    • 総ページ数
      250
    • 出版者
      Routledge Taylor & Fracis Group
    • ISBN
      9781032544137
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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