研究課題/領域番号 |
23K17787
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
張 景耀 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50546736)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 位相最適化 / 接合部 / 金属付加製造 / 残留応力 |
研究開始時の研究の概要 |
建築物の形状が複雑となるにつれ、接合部は個別設計・単品製造に強いられ、力学的に不合理になる場合もある。これらの問題点を解決できる金属付加製造(AM)技術は、有望な解決策だと考えられる。しかし、金属AMには、残留応力の存在により著しい加工障害につながる問題がある。本研究では、ネガティブとされている残留応力を取り除くことと真逆に、それをポジティブに活用することにより、接合部の構造性能を大幅に向上する位相最適設計法を提案する。本研究の成果は、製造過程における莫大な労力から解放するだけでなく、今までにない新しい可能性を切り開くと期待される。
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研究実績の概要 |
近年、計算・材料・施工技術の飛躍的発展に伴い、多様な形態をもつ自由曲面構造は建設されている一方、複雑な構造形態に対応するため、異なる部材を繋ぐ接合部は複雑な3軸応力状態に置かれる。また、意匠性を優先した結果、接合部の形状が一意に定まらないため、個別設計・単品製造が必要となる。これらの問題に対して、金属付加製造(AM)による3D造形技術は大いに威力を発揮できる。金属AMでは、従来の切削加工や型成形などの工法で実現不可能だった形状も製造可能となり、位相最適化技術との相性が特に優れている。 一方で、金属AMにはさまざまな造形方法があるが、いずれも溶融金属のレイヤーを付加していくことで形を作る。全ての製造方法において金属が冷却され収縮する際に、大きな残留応力を発生し、著しい加工障害につながることが知られている。こういった残留応力は熱処理で取り除かれることが多い。また、付加製造プロセス最適化により、残留応力を低減する研究もあるが、製造制御が煩雑となる。 これまでマイナスな面ばかりから見られている金属AM部品の残留応力を、ポジティブに捉えるように、本研究では、樹木の巨大化に大きく寄与する成長応力からヒントを得て、金属付加製造の残留応力を活かして、接合部の構造性能を大幅に向上する位相最適設計法の提案を研究目的とする。 本研究では、既往研究において開発した樹木の生長応力の発生過程シミュレーションのための増殖有限要素法を、金属AMの解析に援用し、ニュートンの冷却則を仮定した定常解析においては、金属AMによる残留応力分布の実測値との良好な対応関係から、提案手法の有効性を示した。さらに、8種類の分岐構造に対して、金属AM接合部の利用によって、最大応力が半分以下に減少できるケースもあることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既往研究において開発した樹木の生長応力の発生過程シミュレーションのための増殖有限要素法を、金属AMの解析に援用し、ニュートンの冷却則を仮定した定常解析においては、金属AMによる残留応力分布の実測値との良好な対応関係から、提案手法の有効性を示した。さらに、8種類の分岐構造に対して、金属AM接合部の利用によって、最大応力が半分以下に減少できるケースもあることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度には、接合部を3次元ソリッド要素でモデル化する。各時間ステップにおいて、熱の非定常伝導および、材料特性の温度依存性を考慮した弾塑性解析より、節点変位、ひずみ・応力増分を求める。次の時間ステップにおいて、前ステップの温度分布、変形および残留ひずみ分布のもとで、新たな要素を付加して、連成解析を繰り返す。また、既存の実験結果と比較して、提案手法の解析精度を検証する。
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