研究課題/領域番号 |
23K17795
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分24:航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
佐原 宏典 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (10399769)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アルミハニカム板 / 粘弾性 / 制振 / 超小型衛星 / 接着剤 / ポリイミドテープ / エネルギー散逸 / 制振機能 / アルミハニカム / 人工衛星 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は人工衛星の荷重経路となる壁面や床板などの一次構造への適用を想定して,粘弾性や摩擦でのエネルギー散逸による制振機能を有したアルミハニカム板を実現することを目的とする.これにより打上時の人工衛星内の振動環境を緩和し,搭載機器の選定や設計の自由度の制限を大幅に軽減することに貢献する.これは従来の高剛性を求める衛星構造の設計ポリシーを大きく転換させる挑戦である.
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研究実績の概要 |
人工衛星は打上時,過酷な振動環境に晒される.故に搭載品の故障を招き,衛星システムの信頼性を低下させることが起こり得る.また安価で高性能な民生品はこれに対する制振対策を行わなければ搭載できず,開発費用・期間が増大する.しかしながら,50kg級などの超小型衛星は質量・体積といった搭載リソースの制約が厳しく,制振対策は容易ではない.現状では,質量・体積といった搭載リソースを消費することや,大幅に剛性を低下させることで制振対策を行っている.搭載リソースを消費しない手法としてはポリイミドテープを用いた手法があるが,面外方向での効果は小さい.また,これらの手法は場当たり的なため,試験期間が延長してコストが増える. 以上から,本研究では搭載リソースの消費をせず,プロトタイプの設計当初から構体全体として面内・面外方向の制振対策を行うことで設計や製作,試験のコストを低下させ,ついにはミッションの高度化につなげられる,エネルギー散逸による制振機能を有したアルミハニカム板(HSP)の実現を目指す. まず実験により三軸方向での振動試験として弾性接着剤HSPとポリイミドテープを適用した弾性接着剤HSP,振動減衰効果を通常のHSP,通常のHSPにポリイミドテープを適用した小試験片で比較した.結果として応答PSDの低下や,OA値の低下を比較し,弾性接着剤HSPは面外方向において非常に有効であることが分かった.ポリイミドテープは面内方向で非常に有効であり,弾性接着剤HSPと組み合わせて,面内・面外ともに非常に有効であることが分かった. さらに適用性の確認として,ある50kg級超小型衛星に対して固有振動数解析を行い,H-IIAの剛性要求を参照して一次固有振動数を評価した.結果として固有振動数の低下は見られたが,従来手法より1/10程度と小さく,剛性要求を参照しても衛星への搭載が可能であることを予測した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画に従って順調に研究開発を進められており,一定の成果を得ていることに加えて,2024年度実施予定の「超小型衛星の構造のシミュレーション」に着手できている.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はアルミハニカム板を試作し,接着剤と粘弾性体の粘性・弾性の度合いと接着剤層の厚み,及び粘弾性体・摩擦体の配置と寸法が重要となるため,引き続き接着剤及び粘弾性体・摩擦体などを違えた試験片を製作し,学内の試験設備にて振動試験や動的引張粘弾性試験などを実施して振動特性を取得し,幅広い周波数帯における制振効果を定量的に評価することを更に進める. また,シミュレータによる人工衛星の実寸法での制振効果をさらに詳細に予測し,2025年度で衛星構造を製作してこれを実験的に検証するための設計に着手する. 2025年度は衛星構造を製作し,本研究の成果が有効であることを実験的に検証する.
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