研究課題/領域番号 |
23K17809
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小俣 孝久 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80267640)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | プロトン伝導体 / リン酸塩ガラス / 中温作動型燃料電池 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代燃料電池と期待される300℃付近で動作する中温作動型燃料電池ITFCは,それに適した固体電解質が未だになく,夢の技術に留まっている。本研究では、Siなど少量のヘテロ元素で鎖状リン酸高分子を架橋することで、液体リン酸の優れたプロトン伝導性をそのままに,300℃付近でも固体状のポリリン酸ガラスを作製し、ITFCを実現する電解質を開発する。そのようなガラスは、研究代表者らが開発したリン酸塩ガラスへの電気化学的プロトンキャリア注入法を用い、Na含有ガラスのNaをHに置換することで作製する。
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研究実績の概要 |
(A)ポリリン酸ガラスHO1/2-MOx-PO5/2 の作製:プロトン伝導性ガラスとしての知見に乏しいM=Ge, Ga, Tiにフォーカスした。ガラス化範囲を調査し,Ge系ではHO1/2が30~40mol%,GeO2が12mol%以下の広い範囲でガラスが得られることを明らかとした。Ga系,Ti系については3元系ではガラスが得られなかったので,HO1/2-GeO2-PO5/2ガラス中のGeO2をGeO3/2,TiO2で置換しガラス化範囲を調査した。その結果を踏まえ,ガラスが得られる35HO1/2-xGaO3/2-(12-x)GeO2-53PO5/2(x≦10)および30HO1/2-xTiO2-(10-x)GeO2-60PO5/2(x≦3)ガラスにより,GaとTiの効果を調査できることがわかった。 (B)ポリリン酸ガラスの熱安定性の研究:35HO1/2-xGeO2-(65-x)PO5/2系ではx=5ではガラス転移点(Tg)が135℃で,GeO2含量とともにTgは高温となり,x=12ではTgは200℃となった。ラマンスペクトルによりこの系のガラスが鎖状リン酸イオンからなることがわかったので,GeO2の添加により鎖状リン酸イオン間の架橋が発達し,Tgが高温化した,すなわち,高温での安定性を向上したことがわかった。35HO1/2-xGaO3/2-(12-x)GeO2-53PO5/2のTgは,GaO3/2含量によらず約200℃で一定であった。30HO1/2-xTiO2-(10-x)GeO2-60PO5/2では,TiO2含量が増加すると僅かに低下する傾向も見られたが,いずれも約200℃であった。これらの結果から,高温での安定性の観点では,GaO3/2やTiO2はGeO2と同様に鎖状リン酸イオン間を架橋し,熱安定性を向上する効果があることが明らかとされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたヘテロ元素のうち,プロトン伝導性に関する知見の少ないGe, Ga, Tiについて,ガラス化範囲を決定できている。TiおよびGaの場合では3元系ではガラス化しなかったので、GeO2を添加した4元系でガラスを得ている。得られたガラスについてはガラス転移点を決定し、熱安定性も評価済みである。プロトン伝導度についても一部については既に評価を進めており、計画通りに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
3元系ではガラス化しなかった系においては4元系に拡張することで試料を用意しているので、プロトン伝導性を網羅的に評価し、研究目的の達成に向けて進める。
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